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大山倍達マニアック検定

大山倍達のアメリカ遠征 9 (マス東郷の演武)

JUGEMテーマ:空手
 実は、このネタをやろうと思って忘れていた事に気付き、今回は暇に任せて予定を変更して当時大山倍達が行っていた演武を紹介しようと思います。

各記事はこちら
大山倍達のアメリカ遠征 1 (1952/04/15)
大山倍達のアメリカ遠征 2 (1952/05/06)
大山倍達のアメリカ遠征 3(番外編)
大山倍達のアメリカ遠征 4(1952/05/10-06/27)
大山倍達のアメリカ遠征 5 (1952/6/28〜9/16)
大山倍達のアメリカ遠征 6 (”ディック・リール”の謎)
大山倍達のアメリカ遠征 7 (ジョージ・ベッカーとの対戦)

大山倍達のアメリカ遠征 8 (大山倍達が出会ったレスラー達)
大山倍達のアメリカ遠征 9 (マス東郷の演武)
大山倍達のアメリカ遠征 10 (グレート東郷と遠征の背景)

 大山倍達初遠征より遡る事約50年ほど前、アメリカでは柔術が大ブームとなっていた。 時の大統領セオドア・ルーズベルトは神秘の国、日本の武術に心を奪われ、1902年に長崎で10年間柔術を学んだJ.J・オブライアンというボストン出身のアメリカ人をホワイトハウスに招き指導を乞い("Achison Daily Globe" 1902年4/1)、その2年後には講道館の山下義韶から柔道を学んでいる。 いずれこのブログで紹介するがこの1900年代初頭は、アメリカレスリング界で活躍した日本人が何人もいた。 しかしその中には空手家がいなかった。 そんな中で大山倍達が持ち込んだ「新しい」東洋の武術はさぞ新鮮だった事だろう。
 さておき、大山がアメリカで見せた演武について、1953年に発行された「オール読物」から引用してみよう。

 とにかくその晩は、煉瓦二枚と、石と板をやつたんですが、食べていないから、力が入らない、めまいがして仕方がない。煉瓦のときは、一囘、二囘とも手刀でやつたんですが割れなくて、三囘目に手刀と見せかけて拳を固めて打ち下ろしてやつと割れたんです。
(中略)
 それから三戰の型といつて、これができれば一人前だという唐手で一番むずかしい型をやつた。どうせ解るわけがないです。それと鐵騎の型をやつて見せた。
(中略)
次に一インチの板を六枚重ねて割つた。汗びつしよりでした。これで見物はすつかり眼をみはつた。
(中略)
 初めは六インチの板を、相手に持たせて割つて見せた。ところが東郷が、それじや興行的に價値がない、大衆の心理というものは、一枚割つても感心する、二割割つても感心する、だから六枚割れるものなら三枚にしろと言うんです。その代り、割ると同時に飛込んで、相手の胸に突きを入れて相手の人間を板を割ると同時に倒してしまう。これを東郷が私にやらせたんです。これが大變な興行價値を呼んで「超人だ! ワンダフル」だということになつたんです。

板割り2.jpg
遠藤幸吉との演武

 この最後にある板を割ると同時に持ち手を倒すという演武は、53年に千葉県館山市で行われた演武会でも披露しており、弟子の岩村博文がその犠牲となった。

板割り.jpg
板を突き破った拳が岩村を襲った瞬間

 煉瓦割りに関しては懸賞を付けて観客を募り、実際にやらせてみせたという話が残っているが、大山自身は手への負担軽減の為か、硬い耐火煉瓦を割るだけでは無く穴の空いた軽量煉瓦も演武で割っており、その写真も残っている。

煉瓦割り.jpg
非常に貴重なレスリングシューズとタイツを履いた姿での演武

煉瓦割り2.jpg
軽量煉瓦を割る大山

 大山が帰国した後、グレート東郷が演武をしていた事があり当時の映像が残っている。 そこで東郷は石割り、角材割り、正拳、前蹴り、頭突きによる板割りを披露していた。 これらは恐らく大山が見せていたものだろう。

グレート東郷演武.jpg
グレート東郷の演武、左手で板を持ったまま割っている。持ち手は羽田

 他に有名な演武としては、拳をハンマーで叩かせる、というのがある。 これは複数の写真が残っているが、かなり無茶な演武だった様だ。

ハンマー.jpg
ハンマーで拳を叩かせる瞬間

 最後に、これはリング上では披露していなかった様だが、硬貨曲げというのがある。これは 劇画「空手バカ一代」で見せた親指と人差し指で曲げるやり方では無かった。 大山自身はこう語っている。

 10円銅貨の曲げ方は、人差し指と中指の上に銅貨を置いて、上から親指でギューッと力を入れて曲げたわけです
(中略)
右手の方が力を入れやすいので右手で曲げた。 左の場合もできないことはなかったが、うまくいかないこともあった。
 10円銅貨を曲げたと簡単に言うが、実はたいへんな力と集中力がいる。 まさに渾身の力と、もう一つは気の持ち方が大切だ。丹田に力が入らなければできない。 私は10円銅貨を曲げたあとよくジンマシンができた。 それくらいの集中力が必要だった。 そう簡単なことではなかったことは知っておいてもらいたい。

10円玉曲げ2.jpg
10円玉の曲げ方

 尚、初めて披露したのはアメリカのテレビ番組"You Asked For It"の様で、ロサンゼルスの邦人紙「羅府新報」(1952年7/18)には、この様に書かれている。

五十仙銀貨を指先で二ツにへし折る等の妙技を見せる筈であるが、實演するのはこれが最初のこととで期待されている。

 硬貨曲げに関しては、過去に柔道の木村政彦や剛柔流の山口剛史を筆頭に多くの人が見たと証言しており、中には大山が10円玉曲げを披露した後にそれを貰ったと証言する者までいるが、残念ながら、今のところ演武中の写真は見付かっていない(証言の数々や、コイン曲げの実験は「大山倍達正伝」に詳しい)。 しかし、 曲がった10円玉は大山家に残されており、近年ではベースボール・マガジン社の「フルコンタクト空手入門」に実物が紹介されていたが、あまり知られていない様である。

10円玉曲げ.jpg
「月刊大山倍達」に掲載された10円玉
 


 当初、このエピソードをやろうと思ってたのですが本気で忘れてました。 そんなに長い話じゃないので、今回はいつもより写真が多いです。
 何かウィキペディアを見ると10円玉曲げは大山総裁以外にやった者がいないように書かれていますが、物証が残っている範囲で言えば、プロ空手を創設した大塚剛氏が100円玉等を曲げており、「極真外伝」にこっそりと写真が載っています。 これは貨幣損傷等取締法に抵触するからなのでしょうが、あまり大っぴらにされておらず、この本を持っている人でも気付いてないかも知れません。 まぁ、この様な演武が出来たのは大らかな時代だったからでしょうね。 これから挑戦したいと思っている方は、ゲーム用のメダルを使って下さい。
 それから写真にある穴の空いた軽量煉瓦。 これ、同じ物が私が通っていた高校のドアストッパーとして使用されていたので、試しに割った事があります。 本当に割れるとは思わず、割った後すぐに逃げましたけどw 普通の煉瓦は割れませんでしたが、こっちはさくっと割れました。 私程度で割れるものですから、挑戦者を募っていたリング上では使わなかっただろうと思います。
 それでは、また。

参考文献:
Achison Daily Globe, 1902
羅府新報 1952年
オール読物 「サムライ日本」 1953年7月号
力道山以前の力道山たち 小島貞二著 三一書房 1983年
日本格闘技おもしろ史話 加来耕三著 毎日新聞社 1993年
月刊パワー空手 「正拳一撃」 1994年4月号
月刊パワー空手 「写真特集 大山倍達総裁を偲ぶ その若きカラテ修業」 1994年8月号
大山倍達の真実 基佐江里著 気天舎 1997年
極真外伝 〜極真空手もう一つの闘い〜 ぴいぷる社 1999年
月刊大山倍達 「レジェンド オブ ゴッドハンド」 第三号 2004年
フルコンタクト空手入門 ベースボール・マガジン社 2004年
大山倍達正伝 小島一志、塚本佳子著 新潮社 2006年

 






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コメント
はじめまして。

今日このブログを検索から見つけた者です。

大変興味深く拝見しております。

硬貨曲げですが、大塚剛氏は両手を使って曲げたんでしょうか?

両手を使ってならば、若木竹丸氏も10円を曲げられたと正拳一撃には書かれてましたが。

ウィキペディアの情報は、3本指のみによる10円曲げは大山総裁だけ出来たという意味なんですかね?

と言いますのも、極真でも10円曲げだけは大山総裁しか出来ない究極の演武とされていますよね。

私は信じてますが、道場生の中にも、半信半疑の者が居るぐらい難易度が高い神演武だと思います。

何しろ世界チャンピオンでも出来ない、これが出来れば牛が倒せると大山総裁が言っていた力技ですもんね。

だから、これだけは他の人には出来てほしく無いのです(笑)

なにしろ、大山倍達正伝の実験だと172kg以上の力が必要らしいですから、、
  • 大山総裁ファン
  • 2011/02/03 11:51 PM
>大山総裁ファンさん
どうもです。
大塚剛先生のコイン曲げに関してはよく知りません。 ずっと以前に雑誌やプロ空手の会場でも見せたそうですけど、調査した事は無いですね。
ただ、人に見せる事を前提にするなら、本来は片手で曲げるっていうのは無いと思いますけどね、ましてや3本指というのはオリジナリティがあります。
日本人で無ければコイン曲げを行った人は何人かいますが、いずれも両手で曲げていたようです。 また、Franz Bienkowskiというポーランド人のレスラーに至っては、コインを引きちぎったそうで、写真が残っています。
http://www.oldtimestrongman.com/blog/2007/12/franz-bienkowski-cyclops-coin-breaker.html
片手で曲げたのは大山倍達だけ!と断言したいところですが、こればっかりは何とも言えませんねw
  • Leo
  • 2011/02/05 1:14 PM
こんばんは。
私もようやく命の恩人 大山倍達をアマゾンで注文出来ました。
ところで私はネットで江口芳治先生が両手で10円を曲げていたという話を見つけました。
http://blogs.yahoo.co.jp/eightshikun/27610481.html

この話、Leoさんは、ご存知でしたか?
私は初耳で非常に驚いています。
両手で曲げる人なら稀に居るという噂は聞いていましたが、、、
まあ大山総裁の場合は片手ですが。
この演武は法律に抵触するの関係で、出来る人でも敢えて言わないということなんでしょうかねぇ。
  • 大山総裁ファン
  • 2012/10/06 8:41 PM
>大山総裁ファンさん

おぉ、ありがとうございます。 この話は知りませんでしたw
まぁ、江口先生、めっちゃマッチョですもんねぇ。
確かに本物の硬貨を使うとなると、人に言えませんからね…。

今度、硬貨曲げに懐疑的な「握力王」のレビューでもしようかなw
  • Leo
  • 2012/10/06 9:18 PM
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