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大山倍達マニアック検定

極真会館主催 第3回全日本大会プログラム (1971年)

JUGEMテーマ:空手
 
 今回は久々、大会プログラムの紹介です。 現在私の手元にあるプログラムではこれが一番古い物となります。 大会前の小冊子なら第1回、第2回の物はあるんですけどね…。 未所有の大会プログラムに関してはまた今後に期待…されても困るかな。 あ、お譲り頂けるという話でしたら大歓迎ですw

第3回全日本大会1.jpg


 1969年から始まった直接打撃制のこの大会の第3回が開かれたのは1971年10/24、場所は東京都体育館でした。 ちょうどこの年から講談社の「週刊少年マガジン」で劇画「空手バカ一代」が始まったという事もあって、盛況であったと聞きます。
 この頃になると入門者も徐々に増え始め、この時点で海外40ヵ国に329の公認道場を抱えた大山倍達総裁と極真会館は、大会成功への確信が高まっていたかと思います。 それは大会趣意書にも見え隠れしています。

第3回全日本7.jpg

 幸いこの方式によって試合は白熱的なものとなり、多くの人々の支持が得られている。 なぜ我々はあえて実力主義をとろうとするのか。 その質問に答える必要は本来ないと言っていいくらいである。 我々がこれまで述べてきたように、空手が武道であるということにその解答のすべてが含まれているからだ。 空手はまさに武道であって、体操でも舞踊でもない。 少くとも空手の試合を行って相手を倒すことがないとしたら何の意味があろうか。 もし空手が相手を倒すことを純粋に目的としないなら、まさに空手をやらないこと、組手の稽古もしないこと、それが空手であるとしか言えまい。
(中略)
 我々はこれまで「世界に伸びる空手道」というスローガンを掲げて、空手の世界的普及につとめてきた。 しかし今では、「世界の空手」であることをあえて宣言する。 そして、空手にのみ残る武道精神、すなわち日本精神のみが、世界を頽廃から救えるものであると信じ、空手の技術と精神をまず日本国内において充実させ、更に世界を指導する実力を涵養することが急務であると考える。
 もしそのことを怠れだ、空手あるいは武道精神、あるいは日本精神が、かえって日本以外の国で大きく成長し、遂には我々が日本精神を他国から学ぶということにもなりかねない。 そして、そのようなことになっても仕方ないかもしれない。
 しかし、日本人が武道精神あるいは日本精神を失なうことは、日本の滅亡を意味する。 現代の日本を覆っているあらゆる害悪が、殊に、戦後急速に進んだ日本精神喪失から来ている事実に、日本人は気付かなければならない。
 我々はそれを空手で救おうと呼びかける。 この呼びかけを笑う人は、すぐに世界を旅行して、ご自身の目で見ていただきたい。 世界中、どれほど多くの人が日本の空手を学び、そこから武道精神と日本精神を真剣に学んでいる事実を。 日本人はその事実を知らないだけなのである。

 それでは、今大会のルールを見てみましょうか。 興味深いのは、技ありの規定が無い事ですね。 後、ここには書いていませんが、体重判定の有効体重差は3キロです。

第3回全日本3.jpg

〔組手〕
〔1〕 組手は原則として1試合3分間とする。
〔2〕 組手の勝者は、1本勝ち・判定勝ち・相手の反則ないし失格による勝ちにより決定される。
〔3〕 1本勝ち
(a) 反則箇所を除いて、突き・けり・肘打ち等を瞬間的にきめ、相手をダウンさせるか、またはダウンさせないまでも一時的に戦意を喪失させたとき。
(b) 足掛け技をも含めてダウンさせた相手を、きめたとき。
〔4〕 判定
(a) 1本勝ちのきまらないときは、双方の技術、気魄の優劣、減点数の多少により、審判員が協議して決定する。 ただし常に軽量の選手が優位とされる。
(b) 選手は審議員を通じて判定の異議申し立てができる。 ただし「技あり!」は使用しない。
〔5〕 反則
(a) 拳・肘による顔面殴打。 手先が軽く触れても失格となる場合もありうる。 ただし顔面をけん制することは自由である。
(b) 金的げり
(c) 頭突き
(d) 貫手による顔面、首への攻撃。
(e) ダウンした相手に当てたり、けったとき。
(f) 減点3以上を数えたとき。
(g) 以上のほか、審判員が特に反則と見なしたとき。
〔6〕 減点
(a) 相手を3秒以上掴んで放さないとき。 ただしそれぞれの場面に応じて主審の判定に委ねる。
(b) 何度も場外へ逃げたとき。 ただしこれも主審の判定に委ねる。
(c) 主審の判断により、特に悪質な試合態度と見なされたとき。

第3回全日本6.jpg

〔試し割り〕
(中略)
割った枚数により点数を競い合うが、同点の場合は体重の軽い方を優位とする。
(中略)
原則として試し割りで失格すると組手に出場できない。 また、第1回の試し割り以後は組手の勝者のみ出場の資格を有する。  

 ちなみに今大会で祝辞やあいさつを寄せているのは三木武夫会長(当時)や毛利松平副会長(当時)といった自民党の政治家から作家まで様々。 いくつか面白い祝辞があるので抜き出してみます。

第3回全日本大会2.jpg

大会委員長 塩次秀雄(KRC社長)
 …2年連続トップスリーをさらった極真会館トリオは、今年も同様のコンディションで出場するのだろうか、あるいはまた、昨年山ごもりして修業し、かなりの線まで善戦した挑戦者・富樫選手のその後はどうなのか、今年は大阪勢が打倒極真会館めざして猛練習を重ね、かなり戦法の研究をしているから圧倒的に強いのではないか、というような噂を耳にするたび、…

大会審議員長 河合大介(慶應義塾大学評議委員)
 昨年のこの大会には、財団法人日本空手道連盟会長の笹川良一先生もご来場下され、このルールに対し非常に興味とご理解をお示し下さったことに、深い感謝と心強さを感じております。

大会審議員長 梶原一騎(作家)
 国内においてはしかし、従前やや海外に比して弱かった。 ところが現在どうであろう! 成人・児童向きとして一時は本邦最大の発行部数を誇った「週刊少年マガジン」誌上に、大山館長の一代記『空手バカ一代』が、すでに半年余にわたって連載中である。 出版界の雄たる発行元の講談社も、その縁で本大会を後援してくれている。
 『空手バカ一代』は、私の原作、つのだじろう氏の作画になる劇画であるが、ここで宣伝役を自任する気は毛頭ない。 児童に好影響なくば、天下の少年マガジンが個人の伝記を載せはしない。
 この雑誌には、青年・成人層の読者も多く、そして作品は、『巨人の星』、『あしたのジョー』に続く私の代表作になるやも知れぬ好詩であり、かくして館長の机上にも私の許にも、全国からのファンレターが山積している。 空手といえば大山倍達、これはもはや代名詞に近い。 以上、ほんの一例である。

大会審議員 真樹日佐夫(作家)
 桁外れのその迫力、スケール、絢爛たる試合運びなど総て素晴らしいの一語に尽きるが、主催者側に関係する一人として、心を鬼にしてアラ探しを敢て、ひとつ。
 大会優勝者の所属に関してであり、昭和44年度(山崎照朝君)、45年度(長谷川一幸君)、と二年連続して主催者極真会館の精鋭が優勝をさらい、しかも三位までも独占するとあっては、いささか芸が足らぬ印象は拭えまい。
 これは勿論、真の実力のしからしむるところであって、まさか含むところなどある筈もなかろうが、三度目の正直なることもあり、今年度あたり是非とも他派が優勝戦線に食い込まれんことを、大会の醍醐味強化とともに更なる伸長を祈念する者として切望する次第である。 ーー出でよ、他流派!

第3回全日本大会3.jpg

 大会役員もまた興味深いものがあります。 大会副審議員長には養秀館館長の山本守先生(現・山元勝王)、大会副委員長は警視庁で柔道師範を務めていた三浦六郎先生、大会審議員に弦武館館長の小倉且昌先生。 大会副審判長に翰武館館長の武田昇先生(現・武田昇翰)と、剛武館館長の千葉拳二郎先生。

 賛助委員を見ると作家や俳優が結構いらっしゃいますね。 ちょっと気になるのが、在郷屋嘉昭という人物。 これは佐郷屋嘉昭氏だと思われます。 佐郷屋氏は翌年に亡くなられているので、晩年まで大山総裁か黒崎健時先生と付き合いがあったんですねぇ。

 初期の大会という事で些か冗長な記事になっていますが、もう少しお付き合い下さいw 次は協力道場です。
協力道場
〔北海道〕 極真会館柿崎道場・佐野道場・馬場道場
〔東   北〕 真武館(秋田)・剛武館(宮城)
〔北   越〕 極真会館関川道場(新潟)・中宗道場(福井)
〔関   東〕 極真会館松島道場・福原道場(栃木)・添野道場(埼玉)
〔関   西〕 韓武館・錬武館・憲聖館・賢友館・武泉館・一新館・博武館・東大阪空手会館(以上大阪)
〔中   国〕 聖拳館(広島)・極真会館宇野道場(岡山)
〔四   国〕 極真会館八幡浜道場・宇和島道場・松山道場・大洲道場・徳島道場・愛媛県警察学校松田道場
〔九   州〕 養秀館・剛錬館・糸東館・常武館・長崎空手同好会
〔沖   縄〕 金城道場
協力ジム
添野ジム・杉並ジム・山田ジム・目白ジム・西尾ジム・阪東ジム

第3回全日本4.jpg

 そして詩人の草壁焔太先生も文章を寄せています。

 …第一回大会は山崎照朝選手が天性的な連続まわし蹴りの威力で優勝した。 山崎は山梨県出身で「空手の平手酒造」といわれるニヒルな長身の美青年である。 彼はこのとき試し割りでも優勝して、いわば完全優勝をはたした。 この大会では二位添野、三位長谷川であった。
(中略)
 …このほかにも第一回大会を観戦して発奮し一年間山籠りして訓練した富樫選手、後ろまわし蹴りを得意とする金次憲選手、大阪の蹴りの原川、山崎照朝の弟照道、増田選手など異彩の実力選手も多い。
 第三回はだれが覇権をかちとるであろうか。 三羽烏がやはり上位三位までを占めるだろうか。 第二回大会で迫力ある攻めを示した富樫、金が喰いこむか、あるいは初出場する極真会館の大山泰彦がこれに喰いこむか、私個人としては素質的には山崎照朝をとりたいが、強い者が勝ったという納得さえできれば充分である。

 更に草壁先生が来たる世界大会への展望でこの様な事が書いてありました。

 …日本から外国へ渡っている中村忠、大山茂氏ら十数名の指導員とその弟子たちも乗りこんでくるだろう。 愛媛の俊傑、芦原英幸も出場するかもしれない。

 まさかの芦原英幸先生待望論です。
 と、皆様過去2大会で3位まで独占した山崎照朝、添野義二、長谷川一幸の3選手への期待が非常に高い事が伺えますが、3人とも揃ってこの大会には出なかったんですよねw

第3回全日本5.jpg

 主立った出場選手を列挙すると、極真からはこんな感じになると思います。 金城健一先生によれば、本部選抜選手は黒帯研究会から10名が選ばれたそうです。 総出場選手が48名ですので、大学空手部や支部道場生を合わせても20名行くかどうかってとこでしょう。

佐藤勝昭、二宮城光、佐藤俊和、山崎照道、中元憲義、磯部清次、三浦美幸、ハワード・コリンズ、大山泰彦、金城健一、鈴木浩平、松友登喜良、吉岡幸男、大石代吾
 
他流派だと…流石にこの時代の有力な空手家には詳しくありませんので、ネームバリューで選びました。

富樫宜資、原田秀康、金次憲、富樫宜弘

 無門会会長、富樫宜資先生と一緒に実弟で現・梁山泊空手道を主催する富樫宜弘先生が揃って出場しています。 金次憲選手は既に今大会の常連選手、そして原田秀康選手は巍桜流拳法の原田宗家だと思われます。 足医術で有名ですよね。

第3回全日本トーナメント表.jpg
トーナメント表(拡大版)

 さて、最後に試合結果ですね。 当時は3つのトーナメントに選手を分け、それぞれ勝ち上がった3選手のリーグ戦で決めていました。 所謂「決勝リーグ」です。
 そこでAから佐藤勝昭、Bからは大山泰彦、Cから大石代吾の極真会館勢が勝ち上がり、以下の結果となりました。

優   勝 佐藤勝昭
準優勝 大山泰彦
3     位 大石代吾
4     位 三浦美幸
5     位 金城健一
6     位 吉岡幸男

第3回全日本2.jpg

 極真三羽烏不在の大会にも係わらず、入賞者は皆極真勢となりました。 まだ自流の選手のみでは国内大会を開催出来ないほど小さい団体でしたが、選手は粒揃いであると実証した大会だったと思います。
 この71年を境に、極真は飛躍的に大きくなって行きます。 そんな極真の行く末を先取りする様な結果だったと言えるでしょう。


 という事で第3回全日本大会でした。 出場選手の半数以上が他流派という時代ですし、今から振り返ると色々と面白いので長文になってしまいました。
 第2回全日本に笹川良一氏が来ていたというのは意外でしたね。 70年に入ってから大山倍達総裁と全空連の交渉がスタートしたのですが、大会にまで顔を出しているとは思いませんでした。

 で、5位に入賞された金城健一先生、元々は沖縄で少林流系の沖縄拳法という防具空手を10年以上学び、指導者の立場になってから極真への挑戦を志し上京、泰彦先生に誘われて71年に31歳で極真に入門という変わった経歴の持ち主です。

第3回全日本1.jpg

 沖縄最強を自負していたというだけあって割と短期間で極真に順応し、数ヶ月で帯研に参加を許され大会選抜選手に選ばれました。 現在は沖縄で沖縄拳法琉誠館空手道協会を主宰されています。
 それでは、また。


参考文献:
第3回オープントーナメント全日本空手道選手権大会プログラム 国際空手道連盟財団法人極真奨学会極真会館 1971年
現代カラテマガジン 1972年6月号 現代カラテマガジン社 1972年
ゴング格闘技1月号増刊 カラテ名勝負DIGEST100 日本スポーツ出版社 1991年
ゴング格闘技5/30号増刊 カラテ最強の一冊 日本スポーツ出版社 1996年
格闘技通信SPECIAL 沖縄空手STYLE ベースボール・マガジン社 2007年



 






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