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大山倍達マニアック検定

【レビュー】「ジュニア入門百科 キックボクシング」(1969年)

JUGEMテーマ:格闘技全般
 
 実は全く別の記事を書いていたのですが、ちょっと思う所あって、繰り越しますw
 代わりに当時日本テレビのディレクターだった宇津球道氏が1969年に書いたひばり書房の「ジュニア入門百科 キックボクシング」を紹介致します。 以前紹介した沢村忠氏の「キックボクシング入門」より若干早いのですが、同年出版ですね。 この時期になるとキックブーム真っ只中で、「第3のプロ・スポーツ」と騒がれ各テレビ局が放映していました。 この年に立て続けにキックボクシング本が出版されたというのも、時代が要請した結果と言えるでしょう。

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 本書はムエタイについても詳しい解説をしており、歴史やルール、技術解説、用語集等、「キックボクシング入門」よりも踏み込んでいます。 しかし現在技術書で当たり前の様に見受けられる連続写真を使った解説はありません。 特定のジムや選手を取り上げた本では無い、総合的な本であるというのも理由でしょうか。 更には韓国のキックやサバットも解説しており、個人的にはお気に入りな本ですね。
 それでは目次から。

I キックボクシングの魅力
 一、これが本場のタイ式ボクシングだ
    四百年以上の歴史をもつ
    タイ式ボクシングは神聖な競技
    タイ国の英雄たち
 二、キックボクシングの知識
    本場タイ式ボクシングとは
    日本のキックボクシング
 三、キックボクシングのルール
    タイ式ボクシング競技の規則
    協同式キックボクシング競技の規則
    日本キックボクシング競技の規則
    タイ式とキックの違い
    キックに似たスポーツ

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II キックボクシングの実技
 一、キックボクシングの基礎技術
    技の名称と内容について
 二、キックボクシングの攻め方と防ぎ方
    ひとつでも多くの技をもつ
    まわしげりによる攻め方
    防ぎ方の用語
    まわしげりの防ぎ方
    手技の攻め方防ぎ方
    ヒジ打ちの攻め方防ぎ方

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III キックボクシングのための実習
 一、きたえぬかれた肉体
    人間兇器といわれるのは
    キックボクサーの条件
 二、トレーニングの日課
    朝のロードワーク
    午後のジムワーク

IV キックボクシングの知識コーナー

付録 キックボクシングの用語集


 目次だけでも面白そうですが、第1章はみっちりムエタイガイドで構成されています。 タイの2大スタジアムであるラジャダムナンとルンピニーの解説から始まって、入場料から試合カード、ムエタイ選手の装飾具とワイクー(戦いの踊り)と盛り沢山。 ワイクーに関してはこの様な解説がなされていました。

 「リングにあがれたことを、祖先や恩師に感謝し、リングにあがった以上、死んでもかまわないから必死で戦う。 しかし、できることなら、不幸やケガが起こらないように、守ってほしい。 親兄弟も祈ってくれ。 そして、身を清める踊りのあと、自分の出身地、所属ジムなどの、英雄の武勇伝を語り、自分の得意技を誇示して、相手に自分は強いんだぞとおどしをかける。 最後に、相手にさあこいとファイティングポーズをとって、足を踏みならし、軽く祈るか、一礼して、自分のコーナーに帰る」

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 本書によれば当時の人気選手はライト級のトン・バイ、人気カードはウェルター級のデー・リットとアピデス・シチラン。 私でも聞き覚えのある名前なので、詳しい方ならご存じでしょう。 割とどうでも良いですが、私が一番好きなムエタイ戦士は、ノックウィー・デービーです。

 で、タイ国での歴史、日本への伝播と話が移りますが、ここで大山倍達総裁が登場します。 何故か大山「ばいたつ」とルビ振ってますがw 1963年の伝説の試合、極真対ムエタイです。 勝敗は書いていませんが、まるで負けたかの様に書いてるのには閉口します。 こんな感じですよ。

 …結果は、形だけの空手と、実戦で鍛えぬいたタイ式ボクサーとの差は、はっきりしていました。

 2勝1敗で極真側の勝ちなんですけどね…。 そして興味深いのはここです。

 そして、ついに昭和四十一年一月三十日、全日本キックボクシング協会を設立するところまでこぎつけました。 このころ、一時、手を携えて苦労をともにしてきた。 大山倍達師範と意見が分かれ、大山はキックファイト協会を設立しましたが、人気が出ないまま、解散のやむなきにいたりました。

 キックファイト協会は企画のみだと思っていましたが、詳細を知りたいものです。

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 その後、目黒ジムの野口進と沢村忠はTV放送に漕ぎ着け、不定期放送から月1放送で視聴率15%を取るに至り、1968年のTBSの週1放送と人気を上げ、一気にキック戦国時代へと雪崩れ込む様が描かれています。

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 次にルール。 ムエタイのルールから全日本キック、協同系のルールの他にもブラジルのバーリ・トゥードについてさらりと触れてたりしますが、韓国キックとフランスのサバットについて詳細が書かれてます。
 韓国のキックは1964年、吾道館館長の具判泓がテコンドーと柔道、レスリング、ボクシングを1つのルールにまとめ上げた、という事になっています。 その名も"Kingtuk"。 1966年に日本キックとタイの試合を知り、68年に目黒ジムの野口進会長と知り合い、世界キックボクシング連盟に参加したの事。 ルールは体重別で、リングを使用。 グローブは10オンスの5本指が出るグローブとありますのでオープンフィンガーグローブっぽいのか、指先の出るパンチンググラブか、意外に斬新です。 KOは30秒で判定はポイント加算方式みたいですね。 投げ有りですが、関節技禁止なので寝技は無い模様。 試合風景の写真とか見てみたいですねぇ。

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 そしてサバット。 サバテと書いてあります。 歴史や試合ルールについてはあまり日本では知られていませんが、その辺りもちゃんと解説されています。 グローブの色による階級区分は中々興味深いです。 ちなみにこんな感じ。

階級
■青グローブ=初心者区分。
■緑グローブ=ジムで一年間練習した者。
■茶色グローブ=非公式戦(練習試合など)出場者。
■赤グローブ=公式選手権試合出場者。
■銀グローブ=コーチ用。
■金グローブ=チャンピオン級。

 各種技術紹介については特に記す事も無いでしょうが、69年の時点で後ろ廻し蹴りやバックハンド・ブローについての解説があるのは素晴らしいと思いますね。 他にも攻防技術の解説など、割と試合に即しています。

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 そして通り一遍な解説ではフォローしきれない事柄に関してはFAQの形で書いたり、用語集があったりと、入門書としては秋田書店の「キックボクシング入門」よりもレベルが高いと思います。 試合写真もかなり収録されていますが、大半が全日本系のエース沢村忠と、協同系のエース(当時)大沢昇の写真で占められています。

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 キック史、格闘技史に興味がある方、本書を手に取る機会がありましたら、是非とも読んで頂きたいと思います。


 という事で、ひばり書房の「ジュニア入門百科 キックボクシング」でした。 秋田書店の「キックボクシング入門」よりマイナーみたいですが、個人的にはこちらの方が好みですw キックボクシング本は意外と少ないので、貴重な1冊と言えるでしょうね。 写真の収録数を見る感じ、大沢昇先生押しなのもポイントです。
 解説は本文中で終えましたので、今回はここまで。
 それでは、また。

参考文献:
ジュニア入門百科 キックボクシング 宇津球道著 ひばり書房 1969年
 






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コメント
こんにちは!

素晴らしいブログですよね。

感動しました。

この本、表紙だけ見た事がありましたが、内容知れてありがたいです。

ネットで見つけた古本屋にあったのですが、売り切れマークついてました(泣)


  • 研究家
  • 2012/03/13 1:45 PM
>研究家さん
ありがとうございます。
あれ、と思って前に販売していた所に行ってみましたが、売り切れていました。

まぁ、古書は一期一会、ある時買いをしないと結構泣きますよねw

  • Leo
  • 2012/03/13 10:38 PM
こちらは偶然見つけたんですが、実に興味深いページでありますね。以降も使用させて頂きます。

>ブラジルのバーリ・トゥードについてさらりと触れてたりしますが
この時代に既に触れられてたんですか……なんでそれ以降、日本での知名度は継続出来なかったんですかね?
ウィキペディアによればブラジルの方でも色々とあったみたいなんですが。本場なのになんだろうか、それは

序でに2ch武道版はどうにかならないのかと思っている今日この頃であります。
私も基本的にはあっちサイドの人(基本的に武道以外で)なんで、どう扱っていいのかと……
  • 流浪牙@どうもはじめまして。
  • 2014/08/30 2:15 AM
あとはキックボクシング関連でこちらの書物など如何でしょうか?

ムエタイの世界――ギャンブル化変容の体験的考察
http://www.mekong-publishing.com/books/ISBN4-8396-0277-2.htm

私はチョット読めてないんですが結構趣き深そうな内容でありますのでして。
  • 流浪牙@追記です。
  • 2014/08/30 2:24 AM
>流浪牙さん

どうもです。
2chの武道板ももう10年位はまともに読んで無いですねぇw アンチ極真とアンチ少林寺拳法を排除しないとどうしようも無いんじゃないかなぁと思います。

バーリトゥードは当時でも話や噂だけあって、写真も映像も無かったので、広まらなかったのだと思います。 イワン・ゴメスが来日して新日本プロレスのレスラーになった時も、アントニオ猪木を通訳とした「東京スポーツ」のインタビュー記事がありましたが、その中でも触れていて、猪木自身が自分もやった事あるが〜と発言しているのに、結局UFCが出るまで情報不足でしたし。

で、「ムエタイの世界」。 これ、キックの佐藤嘉洋さんがブログで触れていて知ったんですが、その内レビューしようかと思ってますw
香港の坤青先生が書いた「泰国拳」とどっちに先に扱うかはまだ決めてませんけど。
  • Leo
  • 2014/08/31 3:46 PM
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