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大山倍達マニアック検定

影丸穣也「空手バカ一代」インタビュー(1998年〜2004年)

JUGEMテーマ:空手


 先日Twitterの方でも触れましたが、劇画「空手バカ一代」の第4部から作画を担当された、影丸穣也(旧名:譲也)先生が2012年4月5日に膵臓癌で亡くなられたそうです。

影丸穣也.jpg
影丸譲也

 そこで今回は追悼の意を込めて、影丸先生の「空手バカ一代」についてのインタビューを取り上げてみます。




ー芦原先生と初めてお会いしたのはいつ頃ですか?
影丸  「空手バカ一代」は、つのださんが2、3年描いてから私は後を継いで3、4年描いています。 私が担当した連載が始まって3ヶ月目ぐらいで芦原さんが登場するんですが、その時はまだお会いしていませんでした。 直接お逢いしたのは連載が1年以上だってからじゃないかな。 渋谷に梶原一騎さんの極真会館の道場がありまして、そこで初めてお会いしました。 芦原さんと真樹日佐夫さんに組手をやってもらいまして、それを梶原さんに解説してもらったんです。

影丸初表紙.jpg

ー実際の動きはこうだと。
影丸  そうです。 私は空手は好きですが、実際にはやってないですから。 本などを見れば大まかな技の動きは分かりますが、細かい動きやスピード感などはよく分からなかったので、目の前で組手をやってもらって、凄いな〜と思いました(笑)。
ー何年頃ですか?
影丸  昭和48年の正月売りの号から私が連載を描き始めて、一年たってからお会いしていますから昭和49年ですね。 それで、東京で始めてお会いして、何ヶ月後か忘れましたがその年に四国の道場にも取材に行きました。
ー芦原英幸氏と最初にお会いした時の印象は、どのようなものでしたか?
影丸  そうですね、ゴツイ人だな=と思いましたね。 空手をやっている人はみんなゴツイですからね(笑)。
ー怖いというイメージはありませんでしたか?
影丸  そういうことはないですね。 外見でそう思われることもあるのでしょうが、芦原さんは人当たりが良くていつもニコニコしていました。
ー原作者の梶原先生からは芦原先生のことについて、どのように聞いていましたか?
影丸  原作に書いてある主人公は、実際の芦原さんより若い17〜18歳の設定で描いていますから、話を聞いて頭の中でイメージして描いている時はやんちゃ坊主というイメージでした。 それで実際に芦原さんにお会いしてみるとイメージそのままの人で、登場人物をそのまま大人にしたような人だなと(笑)。 豪快で、茶目っ気があってね。

芦原英幸初登場.jpg
芦原英幸初登場回

ー漫画のキャラクターと同じですか?
影丸  ほとんど同じですね(笑)。でも本人は「あれは俺じゃない。 俺はあんなんじゃない」と言っていましたけどね(笑)。 まぁ違うところもあるでしょうね。 梶原さんは芦原さんから話を聞いて、梶原さんのイメージするものと合体させて主人公を作っていますからね。 でもほとんど、同じでしたね。
ー細かいエピソードなどは、他の道場生の話などを使ったりしているんですか?
影丸  そうですね。 エピソード的には、やはり読者を喜ばせる梶原先生のテクニックがありますから、話を大きく膨らませたり、他の人の話を付け加えたりしたことはあったようですね。

***

ーー基本の動きなんかもしっかりと捉えられてますね。 帯のブレとか。
影丸  これは写真とか本をいただいたり、極真会にも行きましたからね。
ーー本部道場に?
影丸  ええ。 で、組み手稽古などを見せてもらって。
ーー梶原先生と会う前に?
影丸  ええ。
ーーでは大山総裁とは?
影丸  館長とはねぇ…その時にお会いしたかなぁ。 ゴッツイ手だなぁと思いましたね、握手してもらって。「これがゴッドハンドか」なんてね。

***

ーー劇画を描く時は、梶原先生の原作の原稿が編集部を通して送られてきますよね。 その生の原稿を見ながらイメージで描いていくんですか?
影丸  ええ。 梶原先生の原作は比較的絵にしやすいんですよ。 流れがいいっていうのかな。 盛り上げる時はグッと盛り上げるっていうか。
ーーわかりやすい?
影丸  わかりやすい。 だからこちらのイメージがふくらむんんです。
ーー一度原作を拝見したことがあるんですが、描写がすごいですよね、文字で。「アイスクリームが太陽の熱でしたたり落ちる。 ポタッポタッ」っとか。
影丸  ハハハ、そうですね、ですからそのまま絵になりますよ。

***

ーー『空手バカ一代』の中で「大山倍達(談)」っていっぱい出てくるじゃないですか。 ああいうのは梶原先生が?
影丸  それはもう梶原先生ですね。 実際に梶原先生がお話を聞いてやっておられるんじゃないか、と思ってたんだけど、それもいろいろあるみたいで(笑)。

***

影丸  うーん。 まあ真樹先生との関係もあるんですよ。 僕は『空手バカ一代』をやる前に真樹先生と『ワル』をやってるんです。
ーーああ、それで「弟のお世話になった方だから」っていうのも…。
影丸  うん、だったんじゃないですかね。 さっきの話で熊本行った時も、聞かれました。 「影さん、キミは真樹は好きかぁ?」って、どっかの食堂かなんかでね(笑)。 僕のことを「影さん、影さん」って呼んでくれてたんですよ。 ときどき「影丸君」となることもありましたけど。 で、僕が「好きですよ」って答えると「そうかあ!」って(笑)。 ニコニコしてるんだよね。 だからそういうこともあったんじゃないですか。

色紙.jpg

ーー真樹先生と梶原先生の作風ってどうですか?
影丸  作風自体は、真樹先生の方は話の作り方が緻密ですね。
ーー真樹先生はどっちかっていうと小説っぽい?
影丸  ああ、そうですね。 そのまま小説にしても通じるっていうか、もうほとんど小説です。
ーー梶原先生の方は?
影丸  真樹さんの方はいわゆる大人が読めるっていう感じで、梶原先生の方はもう少し年齢が下の、少年少女が読めるっていうか…。
ーー少年小説的な。
影丸  うん。 夢とか冒険とか、そういう感じですね。 字は同じ字を書かれますけれども(笑)。
ーーああ、字が似てるんですか?
影丸  ほとんど同じですよ。

***

ーーおお、「主人公にするからな」っておっしゃってたんですか!?
影丸  ええ、おっしゃってました。 で、芦原さんの話が始まったら、とにかく面白くってね。
ーー大山倍達総裁の面白い話は、もう出尽くしてたんですかね?
影丸  うーん、どうなんでしょう。 やっぱり大山館長の場合はもうどっしり出来上がった人だから、エピソードとしてはいろいろ実際にあったとことにしても、梶原先生の構想にしても…それを描いても、完成された人間のことですから、言ってみれば、あまりふざけたことは描けないじゃないですか。 芦原さんの場合だと、もともとが「ケンカ十段」みたいな破天荒な人だから。 後で芦原さんに聞いたんだけど、「俺、こんなこと言ってない」とか「こんなことやってない」とか、あるんですよ(笑)。
ーーどんなことですか?
影丸  どんなことって言われてもねぇ、ハッハッハ。 まあ、ひとつ例を挙げれば、松山で芦原さんが奥さんにプロポーズした時にナイフを投げますよね。
ーーはい、「出て行くな」って言って、レストランで。
影丸  そうそう。 あれなんかね、まるっきり梶原先生の作り事ですよ(一同爆笑)。

伝説のプロポーズ.jpg
伝説のプロポーズ

ーー「「あんなことやってねぇよー!」って、言われたんですか?
影丸  そうそう。「手裏剣投げはワシ、やるけどね。 人に向けて投げたことはない!」って。
(中略)
ーー芦原師範の話は原作を読んだ時に「ああ、これは面白い」と?
影丸  ええ、面白いです。 もうホントに来週も早く描きたいっていうか、早く来ないかなぁって思いました。

***

ーー梶原先生の原稿には、キャラクターの風貌までは書いてないんですよね?
影丸  極端には書いてありません。 デカイならデカイというくらいで。 芦原さんのところだと、頭を剃っちゃった時なんかは「クリクリした頭」とかね(笑)。 それで芦原さんがリヤカー引いて。 それを見て「会ってもいないのに、とにかくソックリによく描けてる」って言っていました。

芦原英幸廃品回収.jpg
リヤカー

ーー会ったときは実際どう思いました?
影丸  会ったらそりゃあ違うよね(笑)。
ーー僕のイメージと違った、とか?
影丸  イメージと違ったっていうか、根本的に描かれている人間の性格は梶原先生もよくご存知だから、もうほとんど同じっていうか。 ひょうきんな感じっていうかね。 芦原さんも面白かったですよ。 面白くってせわしなくってねぇ(笑)。
ーーちょこちょこととしてたらしいですよね(笑)。
影丸  ハハハハ。

***

ーー『空手バカ一代』の中に香港カンフーの李青鵬(り・せいほう)が出て来るじゃないですか。 あれが僕たちには真樹日佐夫先生に見えるんですけど。
影丸  あ、そうですか? ハッハッハッ!
ーーあれは真樹さんをイメージしたわけではないんですか?
影丸  いえいえ、そうじゃないんですけどねぇ。 昔から東洋系の人は映画にしても演劇にしても、だいたいああいう感じに描かれるじゃないですか。 白人が日本人を見ると全員同じように見えるというのと同じで、僕らが東洋系の人を見るとああいうタイプに見えるっていうね。 だから特にモデルはないんですよ。
ーーそうだったんですか。 けっこう『空手バカ一代』ファンの間では、「あれは真樹さんに違いない」っていう噂が広がってたんですよ(笑)。 違うんですか?
影丸  違います。
ーーでも『空手バカ一代』に出てくる真樹先生と李青鵬もソックリですよ。
影丸  あ、そうですか? 後であらためて見ましょう(笑)。

李青鵬_真樹日佐夫.jpg
実はちゃんと描き分けされている2人。


***

ーー『空手バカ一代』は戦うシーンが多いんですが、それを描くに当たって何か気を付けていたことはありましたか?
影丸  それはさっきも言いましたけど、デフォルメしすぎないように気を付けました。 もちろんマンガですから或る程度描写にデフォルメは必要ですし、迫力という点で実際の動きとは多少違うのもやってますけれど、空手にもいろいろ流派があってそれぞれの型というか動きがありますよね。 で、極真のを描いているんだから極真以外の動きを描かないように、とかね。 それはありますよ。
ーー格闘シーンの迫力はすごいですよね。 血をパッと吐いたりとか。「ヌォーッ」とか「ズダダダダダンッ」とか擬音の迫力もすごい。
影丸  この頃はGペンを使ってたんですよ。 あれはグッと押さえると幅3ミリくらいなんです。

擬音.jpg

ーー迫力を出す時に、やっぱりグッと押さえるんですか?
影丸  ええ、やっぱりつい力が入りますからね。 まわりで僕が原稿を描いているを聞いてるとバリバリ、ガリガリ音がするって(笑)。 ヘタすると紙が破れますからね、ペンが裏まで突き通っちゃって。
ーーこういう「ドドドドッ」ていうような擬音も原作に書いてあるんですか?
影丸  いや、それは書いてないです。
ーー影丸先生が考えた?
影丸  ええ。
ーー『空手バカ一代』はやっぱりこの擬音がすごいですよね。「ウオーッ」とか「ズシーンッ」とか。「ウリャ、ウリャ、どっせーい!」とか。
影丸  ハハハハ。

芦原英幸表紙.jpg

ーー『空手バカ一代』の仕事は、やってて楽しかったですか?
影丸  はい、楽しかったですね。
ーー一番絵に愛情がこもったのは芦原師範ですか?
影丸  そうですね、やっぱり芦原さんです。


 という事で影丸穣也先生インタビューでした。 冒頭のパートだけ「格闘Kマガジン」2004年10月号の記事から抜粋、以降はかなり端折ってますが「劇画バカ一代 梶原一騎読本」のロングインタビューから抜粋しました。 特に後者の方はもっと多くの事を語っておられますので、実際に手に取って読まれた方がいいでしょう。

マガジン1973}48号.jpg

 それから補足、影丸先生は「昭和48年の正月売りの号」から連載を継いだと語っておられますが、実際には「週刊少年マガジン」1973年の48号…10月24日(地方は26日)発売号から第4部「昭和武蔵編」が始まっています。

 最後になりますが、影丸先生のご冥福をお祈り致します。

おまけ、「拳王」

kagemaru3.jpg


参考文献:
週刊少年マガジン 1973年48号 講談社 1973年
武道☆空手 1989年6月号 成美堂出版 1989年
格闘Kマガジン 2004年10月号 ぴいぷる社 2004年
劇画バカ一代 梶原一騎読本 日本スポーツ社 1998年
KCコミックス 空手バカ一代 第14巻 原作:梶原一騎 漫画:影丸譲也 講談社 1974年
KCコミックス 空手バカ一代 第16巻 原作:梶原一騎 漫画:影丸譲也 講談社 1975年
KCコミックス 空手バカ一代 第18巻 原作:梶原一騎 漫画:影丸譲也 講談社 1975年
KCコミックス 空手バカ一代 第23巻 原作:梶原一騎 漫画:影丸譲也 講談社 1976年
KCコミックス 空手バカ一代 第24巻 原作:梶原一騎 漫画:影丸譲也 講談社 1976年
KCコミックス 空手バカ一代 第29巻 原作:梶原一騎 漫画:影丸譲也 講談社 1978年

参考リンク:
漫画家の影丸穣也さん死去 「空手バカ一代」の作画 (2012/05/13)



 






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