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大山倍達マニアック検定

【レビュー?】 大山倍達著「極真カラテ 21世紀への道」(1992年)

JUGEMテーマ:空手
 

 はい、今回は、最も事実に近い大山倍達史のある大山倍達総裁の著書、「極真カラテ 21世紀への道 出てこい、サムライ」を紹介します。

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 私が大山総裁を調べるのにいくつかベースとして利用した本がありますが、本書はその内の1冊ですね。 基本的には本書と基佐江里さんの本が基礎研究となってます。 ここから色々枝葉を拡げて当ブログがある訳で。 なので個人的に非常に思い入れの深い本でもありますw
 表装がキラキラしてて、ちょっと凝ってるのもポイントかな、保存状態が悪いとくすみますがw




 内容はですね、大山倍達を形作ってきた経験から師、草創期の海外弟子の紹介、規約、今後の構想と、一通り書かれた総合的な本となってます。 目次が長いんですが、まずはそこからどうぞ。


これからの一〇年とは何か――「まえがき」にかえて

第1章    私のカラテ観と人生兵法の理
        ――武道には面白い時代になった
    1
     武道は、人間の精神を救うためにある
     極真カラテの理念――「孝を原点として他を益す」の精神
      「頭は低く目は高く」とは――
      「口を慎んで心広く」とは――
      「孝を原点として他を益す」とは――
     リズムのある生活を――私の座右銘一一カ条
    2
     満九歳に始まった私のカラテ人生
     剛柔流の空手を学ぶ
     山籠りの修業――食べさせてくれれば何でもやる……
     空手で牛を殺す闘いに挑む
     牛を倒す私のパワーの秘密
     極真カラテの正拳の握り方とは?
     つくられた筋肉と鍛え抜いた筋肉の違い
     テレビの生中継で失敗した"ビール瓶切り"
     初めてビール瓶を切った酒場での出来事
    3
     正拳でドラム缶に穴を開け機先を制して勝つ
     叩き方によって倒れ方も違う
     八〇キロのピューマが八〇〇キロのムースを倒す
     小が大を倒す武の極意とは?
     一人で多人数を相手に闘う兵法
     兵法の奥義は自分で修得せよ
     力なき正義は無能なり、正義なき力は暴力なり
     敵をつくらず闘わずして勝つ――陳老人の技に学ぶ

第2章    世界"一二〇〇万人"への軌跡
        ――バトルを追求して平和に至る
    1
     世界への道は渡米遠征から始まった
     緊張の中でスタートした異国での初演武
     冷ややかな周囲の目と厚かった言葉の壁
     レスラーに重傷を負わせ、懲罰委員会にかけられる
     忘れられないデンプシー氏の一言とクラーク氏による紹介

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    2
     帰国の途中ハワイで力道山に空手を教える
     プロレス界への誘いを断った私の真意
     目白の野天道場時代――「うちの子に空手を教えないでくれ」
     古いバレエ・スタジオを借り「大山道場」を設立
     クライスラー社の重役デイビー氏と世界空手行脚の旅へ
     ハワイ支部発足――英文の空手書"What is KARATE?"の反響
     空手のバイブル"This is KARATE"刊行
     「美国」アメリカのパークウェイを走る
    3
     アメリカ各地に極真道場開設
     チェアマンの人選を誤った私の不覚
     コーリァン・カラテ跆拳道のルーツは日本の空手だ
     極真新鋭部隊による米国内デモンストレーションの構想
     極真は今、新たな世界化への整理・整頓の時期にある

第3章    わが人生の巨匠たち
        ――働くだけ、遊ぶだけが能ではない
    1
     "21世紀の日本"を的確に予言した柔道の曽根幸蔵先生
     東亜連盟・石原莞爾将軍の思想に傾倒した十代の頃
     石原将軍手製の木剣を「形見」にいただく
     忘れがたい松濤館館長・船越義珍先生のご恩
     心酔した『宮本武蔵』の作者・吉川英治先生にお会いする
     吉川英治先生に「道場訓」をつくっていただく
     極真会館初代会長・佐藤栄作元首相の"正月の盃"
     毛利松平先生との出会い
     毛利二代目会長なしに今日の極真会館は語れない
     空手家冥利に尽きるヨルダン王室での思い出の日々

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    2
     空手を"善人の武道"にした力道山
     義兄弟の契りを結んだ劇画作家・梶原一騎氏との間柄
     雲の上の存在だった柔道の鬼・木村政彦
     ピストン堀口の要請でプロボクシングのリングへ
     日本ウェイト・トレーニングの元祖・若木竹丸氏から授かる"怪力法"
     合気道の吉田幸太郎先生や植芝盛平先生とも知己を得る

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第4章    現代の世相を撃つ
        ――心をつくる文化がやがて尊重される
    1
     ノースカロライナ大学に招かれて講演する
     「人種問題」にふれ米学生の反感を買う
     病める大国より統制のとれた健全なる小国の建設を
     日本の古きよき精神はブラジルにあった
     アメリカから移植した"民主主義"が日本を変えた?
    2
     生涯働いて家一軒持てない日本の現実
     「鳥も太りすぎると飛べなくなるよ」
     神はただ一つ、代償を求めない「天」だけでよい
    3
     社会秩序を乱す三つの欲――「金欲」「名誉欲」「色欲」
     「替え玉受験」に見る教育界の荒廃
     学歴偏重主義の歪みから脱却せよ
     「空手オリンピック」に出場できなかった南ア共和国選手
     "商業祭典"と化した現代オリンピックの歪み
     右から左へ行くスポーツ公害――ゴルフ場を止めて果樹園に
     ショー化・ファッション化しつつある昨今の武道

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第5章    21世紀に向かう極真カラテ
        ――出てこい、サムライ
    1
     極真カラテ草創期の海外の弟子たち【アメリカ編】
      〈ジャック・サンダレスク〉〈フランキー・ウォーター〉〈フランキー・フランソニー〉〈リチャード・ピギキン〉〈ヘンリー・ジョー〉
     極真カラテ草創期の海外の弟子たち【ヨーロッパ編】
      〈ジョン・ブルミン〉〈ルック・ホランダ―〉〈カレンバッチ〉〈スティーブ・アニール〉
     極真は今、整理・整頓の時
     「飛躍」に向けての課題はアメリカ地区とヨーロッパ地区
    2
     各地区委員長と国内外支部長の資格・条件
     第5回世界大会を前に"改正"された『国際空手道連盟規約』
    3
     わが国初の「直接打撃制」ルールの採用
     極真会館も独自の全世界大会開催へ
     緑健児君の優勝で「本来の姿」を取り戻す
     審判のあり方――主審・副審の心得
     大会において選手の心得るべきこと
    4
     組織を支えてくれている国内外の弟子たちへ
     極真を去った弟子たちへ――師弟関係を離れても「運命共同体」
     武道精神を守り育てるために――「極真国際武道大学」の構想
     晩年は農業に従事し「晴耕雨読」の生活を
     「この地球は、子供に借りたものである」


  本書の特徴は、非常に多くの人が実名で登場する所にあります。 ただあれですね、右翼(東亜連盟)や韓国人脈についてはあまり載っていませんが。 それでもそれまで一度も語られた事の無い人物の名も出たりしますね。 読み込んで行くと、結構面白いです。 思えば大山総裁と闘ったとされる柔道家の末木氏が実在すると知った切っ掛けも、本書購入直後に買った曽根康治先生の「柔道」でした。

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実在した明大の「末木」

 最近、増田俊也先生の著作「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で名誉が回復された、木村政彦先生についても色々と書いてらっしゃいますね。 最後はこう締め括ってます。

 木村の前に木村なく、木村の後に木村なし――先輩がプロレスに転向したことを、私は悔やまずにはいられない。 不世出の柔道家・木村政彦に対し「柔道家のままでいて欲しかった」と願うのは、ひとり私だけであろうか。

 ふと読んで思い出しましたが、某支部長が乱闘をして新聞沙汰となった事件について、こういう一言がありました。

 …お互い"良識"を持った人間同士、他人の人格やプライドを傷つけるような軽々しい言動は互いに慎もうではないか、と――。 空手家やプロボクサーは、高段者でありクラスが上になればなるほど、めったなことでは他人に手出しはしない。
 自分の拳が"凶器"であることを十分承知している故、自重しているからだ。 しかし、彼らも所詮は人間、目に余る侮辱には耐えられないことだってある。 「手出しをしない」ことを承知で、暴言を相手に浴びせるのは、これもまた"罪"というものではないだろうか。

 そしてアメリカ遠征についての記述。 ここにもありますね、遠藤幸吉氏とは常に行動を共にした訳では無い、と。 ただ本書でも帰国の時期が発掘した事実とは異なりますね。 私は大山総裁の帰国後の記事が「東亜新聞」にあると知り、そこから始めました。 そうすると、52年9月に帰国したとの記事。 しかしいつハワイを発ったかは不明で、これを知るにはハワイの邦字新聞「布哇報知」を探す事にしました。 でも当時の「布哇報知」には大山総裁滞在中の事が何も載って無い訳です。 これを確定させたのは本書に登場する歌手のジョージ島袋氏や、武間謙太郎氏です。 この両名は当時の「布哇報知」に帰国時の新聞があるんですよね。

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ジョージ島袋の送別会

 で、アメリカ支部が弱体化した時の話。 60年代のアメリカの武道雑誌を読めば分かるんですが、この頃の極真はアメリカでも有名でした。 70年代に入ると急激に記事の数が減ります。 本書にある通り、西海岸の道場の大半が看板を下ろしちゃったんですね。 格闘技におけるアメリカ西海岸と言うのは、ラスベガスもありますし、メジャーの拠点です。 格闘技雑誌の多くがありますし。 経済的にはニューヨークの方が中心となるのでしょうが、格闘技については異なります。 ここの地盤を無くしたのは痛かった事でしょう。 報道されなければ認知される事も無いのですから。

 第3章も面白いですね。 晩年になって大山総裁がよく講話などで仰ってた曾根幸蔵先生の話が載ってます。 この話は1955年頃の事でしょう。

 「…戦後、アメリカが日本に対してとっている政策は、これは日本を骨抜きにするための政策だ。 今にアメリカ人は、日本人を、丸々と太った豚のように肥やすだろう。 日本は間違いなく、物質的に豊かになる。 しかし、そうなったとき、日本人はもう日本人ではなくなっているはずだ。 日本人の精神はなくなり、顔は日本人でも、精神はアメリカ人だという時代が遠からずやってくる。 アメリカは今、日本に対しそういう政策をとっているのだよ」

 戦略家として知られる、石原莞爾陸軍中将の話も興味深いですね。 大山総裁が何となく反米気味なのは、この石原中将のアジア史観が根っこにある様に思います。 戦後は東亜連盟の姉妹団体だったという、立憲養正會(本書では立憲政友会となってます)に参加した話なんかもありますね。 この東亜連盟と立憲養正會を繋ぐのは日蓮宗で、大山総裁も、その師である椎柱先生も日蓮宗です。 あまり知られていませんが、大山総裁の山籠もりの地は日蓮宗に縁があり、かつて良く利用されていた千葉の一宮もやはり日蓮に関係があります。
 んで、船越義珍先生との思い出。 ここでは船越先生に高麗神社に連れて行って頂いた時の話が載ってます。 で、往時を偲んで、"What is Karate?"の初版撮影時にいくつかのショットを高麗神社で行ったとか。

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 これついては別の資料により、事実だったんじゃないかなーと思ってます。 以下、「対談 近代空手道の歴史を語る」より。

 藤原  そういえば、その当時、富名腰義珍師範の送り迎え役をやっていたのが、陸軍航空隊から復員し、拓殖大学の予科に入っていた極真会の大山倍達さんだったという話を小西康裕師範から聞いたことがあります。
 儀間  ええ、大竹一蔵さんからも、それに似た話を聞いたことがあります。

 大山総裁と大東流の吉田幸太郎先生の話も、詳しく語られたのはこれが最初ですかね? 吉田先生を「武術の最後の師」として高く評価されています。 植芝盛平先生との話もありますねぇ。

 第4章は当時の世相批評なので割愛しますが、第5章。 海外の古参弟子の事が書いてあります。 リチャード・ピギキンと言うのは、アメリカで武徳会を主催しているリチャード・キム先生の事ですね。

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眼鏡の男性がリチャード・キム

 ハワイ出身の日系人、という事ですが、確かに当時は日系人にカテゴライズされたのかも知れません。 実際には名前から分かる様に、朝鮮系です。 生まれた頃は日系人だったのでしょう。 大山道場に入門したピーター・アーバン先生(剛柔流)の師でもあります。 キム先生に紹介されて日本に来たとの事。

 で、ヘンリー・ジョー。 今年3月に亡くなられたヘンリー・チョウ先生の事です。 当時は韓国からの留学生です。 アメリカテコンドー界の父と呼ぶ人もいる大物ですね。

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ヘンリー・チョウの著作

 実際に師弟関係にあったかは知りませんw ま、いずれ著書を紹介しようかと思いますので、その時にでもまた。
 
他のメンバーはまぁある程度名前が知られているので、別にいいかな。 …と、ここに国際空手道連盟と極真会館の観空マークの違いが載ってました。 うん、記憶通りw
 連盟規約とか審判心得とか、選手心得とか書いた方がいいのかな…? ま、興味のある方は本書をお読み下さい。

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 最後に大山総裁のこの一言で締めましょうか。

 …不幸にして袂を分かつ結果にはなってしまったが、互いに武の道に携わる者同士、今も"軌は一つ"なのだということを忘れるな、ということである。


 という事で、大山倍達著「極真カラテ 21世紀への道」でした。 こういう幅広いテーマの本はちょっと纏めるのに困りますね。 いや、レビューやってて困らなかった事は多分無いんですけどw
 平たく言うと、本書は大山総裁と極真のこれまでを総括し、これからを模索して行く過程、という事になるかと思います。
 個人的な見解を言えば、「空手バカ一代」による大山倍達神格化は、梶原一騎先生と離れてから本人の手による訂正が始まります。 しかし膨らんだ伝説は元に戻らず、本書が最後の作業となるのでは無いでしょうか。
 まぁ、調べてる側からすれば伝説と実像のギャップも面白いのですが、批判…というか誹謗中傷を繰り広げている輩にはこの面白さは理解して貰えないでしょうw
 それでは、また。


参考文献:
Sihak henry Cho, KOREAN KARATE Free Fighting Techniques, Charles E. Tuttle Co., Inc.,1968
Jose M. Fraguas, Karate Masters VOLUME2, EMPIRE BOOKS, 2006
布哇報知 8/20 1952年
(旺文社スポーツ教室)柔道 曽根康治著 旺文社 1967年
対談 近代空手道の歴史を語る 儀間真謹・藤原稜三編著 ベースボール・マガジン社 1986年
極真カラテ 21世紀への道 大山倍達著 徳間書店 1992年


 






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コメント
>東亜連盟・石原莞爾将軍の思想に傾倒した十代の頃

と文中にありますが、現在「東亜連盟」は山口剛玄先生のご次男が継承なされているご様子ですね。(同名の別団体もあるようですが)
>名誉五段さん

そうですね。 剛玄先生は沈萓犬閥Δ謀谿]¬舛忙臆辰靴討り、京都の道場も関連団体の所にありました。
  • Leo
  • 2012/08/12 11:01 AM
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