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大山倍達マニアック検定

【レビュー?】基佐江里著「大山倍達 永遠の魂」(1995年)

JUGEMテーマ:空手
 

 今週は少々忙しかったので、さくっと更新しようかと思います。

 えー、今回紹介するのは1995年に基佐江里さんが書いた「大山倍達 永遠の魂」ですね。
 先日レビューした「命の恩人 大山倍達」に引っ張られる形で選択しましたw

大山倍達永遠の魂.jpg


 本著はあとがきによれば

 (94年)4月にお亡くなりになった大山倍達総裁に対する追悼の意を込めて、総裁のお弟子さんたちの"師への想い"や武道論を中心とした本を出版したい……」

 という意図から始まり、49人の支部長に取材をして1人1人を取り上げた本となっています(94年当時は支部長じゃ無かった先生もいますが)。 しかし当時をご存じの方ならお分かりでしょうが、大山総裁が亡くなられた時点での支部長には少々足りません。 これは松井章圭新体制後に離脱(破門)となった支部長を除外した為ですが、本書で基さん自身が書かれている通り、そう言った意味では不本意な面もあります。

1994年極真会館国内勢力図カレンダー.jpg
1994年極真会館国内勢力図

 取材自体は95年の2月初旬までに終えていたそうですが、8月の刊行前に極真会館支部長協議会が松井先生の解任を決定する等、出版も危ぶまれたんじゃないですかね。 そんな中で出た1冊となります。 政治的意図は全く無い、と言う事ですが対立が表面化する前の取材ですから、実際その通りだと思います。
 では、目次から…というか、目次で済んじゃいそうですw

第1章    永遠の魂
    大山倍達総裁に捧ぐ―――「武道」への鎮魂歌
    極真会館の門下生すべてが大山総裁の"後継者"である    松井章圭 八段

第2章    国内支部・草創期の重鎮
    「直接打撃制のルール設定に貢献            真壁  忠  七段
    「空手家以前」の大山倍達を語れる唯一の証言者    小嶋幸男 四段
    あまりにも早すぎた総裁の死                渡辺十也 五段
    空手とは"心"磨く武道である                松島良一 六段
    大舞台、総裁から突然の代役命令            関川博明 五段
    その瞬間、頭の中が真っ白になった            桝田  博  五段
    大山総裁の教えを正確に伝えたい            高橋康夫 五段

92年冬期合宿.jpg

第3章    ゴッドハンド直系の獅子
    「空手界ナンバーワンの道場」に魅せられて        山田政彦 六段
    「弱いところ」を見せるのも指導のうち            小林  功  五段
    一生を変えた一枚の葉書                川畑幸一 六段
    困難のあとに来る"連帯感"                前田政利 六段
    適切な評価を与え「やる気」を引き出す            長谷場譲 五段
    大山総裁の声が天から聞こえた            田畑  繁  五段
    空手とは「大山倍達」であり「極真」である        黒岡八寿裕六段
    空挺部隊から極真の道へ                泰  貴典  五段
    公務員の職を捨て"極真カラテに命を賭ける"        三村忠司 五段
    空手の修行に"終わり"はない                河西泰宏 五段
    幾多ものチャンピオンを輩出した名伯楽            廣重  毅   六段

第4章    全日本・全世界の舞台を彩った栄光の覇者・強豪

    「型」の創案者の意識レベルにまで近づきたい        西田幸夫 五段
    必殺「下段逆突き」で王座についた小兵の戦士        長谷川巨気五段
    単調な繰り返しの中から無限の変化が生まれる        大石代悟 六段
    全日本三連覇・不撓不屈の金字塔            三瓶啓二 六段
    全世界二連覇を達成した稀代の重戦車        中村  誠  六段
    「三誠」と時代を共有した全日本の名脇役        三好一男 六段
    失意のあとに知った"勝ち上がってゆく"喜び        木元正資 四段
    身も心もボロボロになるまで                水口敏夫 三段
    極真の大会史上最多の出場記録を保持        七戸康博 四段
    極真・全日本、戦国時代の"幕開け"を制す        桑島保浩 四段
    ゴッドハンドの"息吹"で世界の頂点に立つ        緑  健児  四段

92年鏡開き.jpg

第5章    たとえ「武」の道は険しくとも
    支部設立から三年、師の亡骸に報告を            金田和美 五段
    支部を再興することが大山総裁への恩返し        池田治樹 四段
    常に我々の半世紀先を見ていた大山総裁        浜井良明 四段
    黒帯を取る資格は誰にでもある            楠  愼吾  五段
    大山総裁の意志を一人でも多くの人に広めたい        藤原康晴 五段
    挫折の危機を超えて"生涯を武道に"            湖山彰夫 三段
    極真カラテで培ったガッツの精神を心の支えに        柿沼英明 二段
    どんな道でも"継続"こそがすべてである            柳渡聖人 四段

第6章    石上十年――ハードルを越えた極真の猛者
    身も心も「大山倍達」を手本に            河岡博實 六段
    たとえ自分の選んだ道が底無し沼であろうとも        高見成昭 五段
    教育者として、極真カラテの指導者として        大濱博幸 六段
    最大の後援者は道場生                大石省吾 三段
    「大山倍達の弟子である」ことに誇りを持つ        山田雅稔 六段
    努力の卒業、そして渾身の空手人生            竹  和也  五段
    芸術の神はディテールに宿る                浜井識安 五段
    総裁に随伴し「世界の大山」を実感した            三村恭司 五段
    死線を越えて到達したモットーは「愛情」と「和」        中村満雄 初段

94年鏡開き.jpg

第7章    極真カラテは永劫不滅
    極真会館と運命をともにした歳月            郷田勇三 七段
    極真会館は世界の空手界・格闘技界をリードしてゆく    廬山初雄 六段

    あとがき

 これだけ書けば説明は要らないでしょうw
 各章の振り分けには少々疑問がありますが、第7章をラストに持って行く為の分け方なのかな、設立順や地域別にすると埋もれちゃいますし、入門年度別という手もありますが、遡る書き方は避けたんでしょうか。
 
 内容としては基本的に、各支部長の略史と空手を始めた切っ掛け、修業時代や大会での印象的な話、そして大山総裁への思いや亡くなった時の話、そして指導する際の心掛けなどで構成されています。
  色々なエピソードが49人分あるので特に取り上げるつもりはありませんが、中には新潟支部の関川先生の様に大山総裁と組手をして歯を折られた話もありますw

道着.jpg

 改めて本書を読み、こう言うと語弊がありますが、分裂したお陰で道が拓けた人たちもいるなぁと思いますね。 それは90年代以降の選手に支部長への道を拓いたという事です。 1人1県で(偶に南北など方角で分割している支部もありますが)管轄していた頃は分支部以外の道は殆ど無かったでしょう。
 そこで大山総裁の支部長定年制が来る訳ですが、まぁ、導入は無理だったでしょう。
 諸流派を束ねる組織として誕生した全日本空手道連盟とは異なり、次々と枝葉を伸ばして組織を作った極真会館は組織の完成度で劣ります。 ぶっちゃければ大山倍達という人物が組織の核だった訳で、ワンマン組織の欠点が露呈した結果が今の極真だと言えるでしょう。 生前に権限委譲して合議制なり何なりと、次世代への組織作りをしてればなぁ…と思わずにはいられませんね。
 今年出版された「大山倍達の遺言」では当時の内紛を細かく描写していますが、野心による権力闘争以外にもそれぞれが信ずる正義や未来がぶつかりあった部分もある訳で、一概にはAが悪い、Bが悪いとは言えないと思います。

 前に少しTwitterで書きましたが、ホンダ創業者の本田宗一郎氏と大山総裁って組織的な立ち位置で似てる所があるんですよね。 ホンダにはもう1人の創業者、藤沢武夫氏がいましたが、大山総裁にはそこに該当する人物がいなかったのが大きな違いではありますが。 藤沢氏は組織作り以外にもホンダ神話(本田宗一郎神話)をプロデュースしとた言える人物で、立ち位置的には梶原一騎先生がそこに当て嵌まるんですが、梶原先生は組織の人間ではありませんでした(いずれにせよ経営は出来ないタイプでしょうし)。 「ホンダ神話―教祖のなき後で」を読んでると極真はこうすべきだったなぁと思い浮かぶ場面がいくつもありましたね。 そして、セブン&アイ・ホールディングス名誉会長伊藤雅俊氏のこんな発言が載ってました。

「成功した創業者というのは、ある意味で“狂気”なのです。創業期に他人と同じことをやっていては企業は大きくならない。違うことを違うやり方でやってきたからこそ成功した。急激に伸びた会社の経営手法というのは、しょせん語り継げても受け継げないのです」

 これは大山総裁と極真会館にも言える事でだと思います。 極真各派共、昔ほど勢いが無いのは仕方無い事なんでしょう。 創始者の影が色濃い2代目というのが一番大変だと思いますし。

 っと、話が逸れましたねw 今回は初心忘るべからず的なつもりで本書をレビューしてみました。
 良かったら本書を読んで、今一度振り返ってみては如何でしょうか?


 と言う事で、基佐江里著「大山倍達 永遠の魂」でした。
 何か最後は横道に逸れちゃいましたが、本書は手っ取り早く各支部長の経歴にアクセス出来るので、資料本としても重宝してますw
 本当は全支部長で出版して欲しかったですが、これは基さん自身も心残りと書いているので、仕方無いですよね。
 今回はここまで。 それでは、また。


参考文献:
月刊パワー空手 1992年1月号 パワー空手出版社 1992年
月刊パワー空手 1992年3月号 パワー空手出版社 1992年
格闘Kマガジン 2000年6月号 ぴいぷる社 2000年
大山倍達 永遠の魂 基佐江里著 イースト・プレス 1995年
ホンダ神話 教祖のなき後で 佐藤正明著 文藝春秋 2000年










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コメント
今年大学生になった息子が1歳半の時に読みました。14,5人の支部長が同期や先輩で面識があったせいもあり、一気に読んでしまいました。分裂の初期でもあり、複雑な心境になりました。掲載予定の支部長の中には帯も同じで総本部で毎日汗を流した人もおりましたから……
現在は分裂後の発展期だと私なりに考えています。
竹師範の破天荒な高校時代がインパクトありました。
度重なる転校(五校?)、高校卒業時が23歳だったとか。
しかも、全日制高校に二十歳過ぎで入学、卒業した
という経歴がすごいです。
規格外な男ですね、竹師範は。
昔読んだ『高校放浪記』を思い出しました。
  • 四十路
  • 2012/10/15 12:38 AM
>四十路様

竹師範は私の入門時にはグリーン帯でした。勤労学生と言う事は知っていましたが、高校の事は本書で始めて知りました。

>『高校放浪記』
稲田耕三さんですね。最近私も読み直しましたが、今読んでも新鮮です。
>名誉五段さん、四十路さん

竹先生は今は竹隆光と名乗られているみたいですねぇ。

竹先生の破天荒な学歴もそうですが、大山総裁が大事にしていた(直接ではありませんが)昭和天皇から下賜されたお酒を呑んでしまったりとか、本書にも出て来る金属バット曲げとか…w
他にも鹿児島初の全九州大会の時は、氷柱10本を下段で割るというのに挑戦されて、3〜4回蹴って全部割った結果、足を骨折されたにも係わらず、そのまま打ち上げで呑んで二次会で呑んで、途中で病院に行ったんじゃなかったでしたっけ?
  • Leo
  • 2012/10/16 10:09 PM
>Leo様

竹先輩の金属バット曲げはその後相当長い期間脛の感覚がなかったとか、氷柱10本割りのお話にしても、豪放磊落な性格がでていると思います。でも、総本部で先輩後輩の間柄で稽古していた時は、そういう雰囲気は無かった様に感じます。私が飛び級で黄色帯に、竹先輩がグリーンから茶帯になった時、「よかったな、おめでとう」と一声かけてもらって以来、あまり一緒に稽古する機会が無かったのが残念です。
>名誉五段さん

でも本部時代に大山総裁が大事にしていたお酒をこっそり呑んでたみたいですから、自重していたのかも知れませんねw

  • Leo
  • 2012/10/18 9:57 PM
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