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大山倍達マニアック検定

【レビュー】ジョン・ブルックフィールド著「握力王」(2004年)

JUGEMテーマ:格闘技全般
 


 昔の武道家は握力に関する伝説がチラホラありました。 本土に紹介された当時の唐手には唐竹を握り潰すという伝説がありましたし、木村政彦先生は自身も握力計を握り潰したと語られていた様に、握力に関するエピソードに事欠きません。
 そして、大山倍達総裁…。 大山総裁は握力を使った最高の演武がありましたね。 そう3本指による硬貨曲げです。 他には、石や煉瓦を引き千切ったり、陶器皿を指で摘んで、摘んだ所だけ千切ったとか。

握力王1.jpg

 で、今回紹介する「握力王」は、握力を鍛える事に取り憑かれた男たちの鍛練法や技の数々が披露されています。 著者のジョン・ブルックフィールドは、ナンバー4と呼ばれる166kgのグリップを閉じた握力の持ち主で、トランプ千切りも出来るそうです。



 では目次。

序章

〜第1章〜    握力王たち
    現代のグリップマスターたち
    現代の握力王

〜第2章〜    握力強化は"握る"だけではない
    握力は"握る"だけでは向上しない
    競技に適した握力強化
    まずは"親指"の強化から
    親指の過伸展によるケガ

〜第3章〜    握りつぶす力
    錆び付いたペンチを使った『ワイヤーカッティング』
    ペンチとバケツを使った『ペンチリフティング』
    90cmハンマーを使った『ダブルハンマー・スクィーズ』
    プレートローディング式の『グリップマシン』
    小袋を使った『バッグキャッチング』
    グリッパーを使ったトレーニング
    理想的な頻度、回数、セット数は?

〜第4章〜    ピンチ力を強化する
    鉄床、薪、プレートを使った『ワイドグリップ・ピンチグリップ』
    重量プレートを使った『レギュラーグリップ・ピンチグリップ』
    斧のヘッドを使った『アックス・ヘッド・リフティング』
    自宅でもできる『ロープクライミング(綱登り)』
    ハンマーを使った『フィンガーウォーキング』

〜第5章〜    ブロックを負荷にした運動
    鉄アレイの鉄球部分を使った『ブロックトレーニング』
    『ブロックトス(ブロック投げ)』
    『ファーマーズウォーク』
    『クリーン&プレス』
    『スナッチリフト』
    『フィンガーリフト』
    『フォロー・ザ・リーダー』
    握力強化にブロックトレーニングは欠かせない!

握力王3.jpg
著者とその妻

〜第6章〜    太いダンベルでトレーニングする
    5cm以上のシャフトが理想
    ダンベルを保持する練習から始めよう
    『ケトルベル』でトレーニングする

〜第7章〜    指や前腕のための強化種目
    ウォーミングアップとして活用できる『リストカール』
    手首を極限まで強化する『カーリング・プレート』
    指、手の瞬発力を鍛える『サンド・グラブ』
    強靱な手首を作る『レバー・リフト』
    太い前腕を作る『リストローラー』
    指先の力を養う『ジョン・オッタスキー流ベースボール・リフト』
    簡単だが効果は大きい『指先で行なうプッシュアップ』
    "指を開く力"も必須『フィンガーエクステンション』
    "指を開く力"も必須『フィンガーエクステンション』その2
    "指を開く力"も必須『フィンガーエクステンション』その3

〜第8章〜    日常の肉体労働と、仕事中に用いられる器具の活用

〜第9章〜 ゴールとそのためのトレーニングプログラム
    小さいゴールをクリアし、大きなゴールを目指す
    自分の身体からの声を聞く

〜第10章〜究極の握力技、"鋼鉄曲げ"
    キミには曲げられるか?
    "大釘曲げ"のための握力強化法
    鉄棒で様々な形を作る『スクロールワーク』
    究極の"蹄鉄曲げ"

〜第11章〜持久力を試してみよう
    キミにできるか?(その1)    "ジャガイモ潰し"
    キミにできるか?(その2)    "持久力バケツ持ち"
    キミにできるか?(その3)    "トランプちぎり"
    キミにできるか?(その4)    "カーリング・プレート"
    キミにできるか?(その5)    "背面大釘曲げ"
    まとめ

〜第12章〜これってホント?
    コイン曲げ、コインちぎり
    テニスボールを破裂させる
    缶潰し
    線路に使われている釘曲げ
    あなたは信じる?

〜参考1〜    握る部分が太くなっているダンベルを手に入れる方法
〜参考2〜    ケトルベルを自作する

あとがき

日本で神と呼ばれる握力王 新沼 大樹


 本書では前述した通り、数々のストロングマンや鍛練方法を紹介してます。

握力王2.jpg

 その中に大山倍達総裁と同じ様な事をやってる方もいましたね。 難易度はどっちが上か分かりませんが。 この方はアル・ウォールマンという人物でこう書かれてました。

 しかし、ウォールマンの披露した技の中に、これまでどんなストロングマンたちもやったことがないような技が2つあった。 まずひとつは、分厚いガラスでできたビンやコップを指先でつまみ、割ってしまうという技だ。 彼は分厚いガラス容器をテーブルの上に置き、指先だけを容器の縁に当てて、つまみ上げるようにして指先に力を入れる。 すると、分厚いガラス容器はいとも簡単に底の部分までひびが入って割れてしまうのだ。


 あまり知られていませんが、握力と言っても掌で握る力と指で摘む力は異なります。 本書ではそれらを含めて総合的に鍛える手段を披露してますね。 ワールドクラスのデッドリフターでも指で摘む力は平均的なレベルだと本書にありますが、なるほどなと思ったものです。 高校時代に確か140だか160だかベンチで挙げるアメリカ人がいましたが、当時70kgくらいでピーピー言ってた私と腕相撲したら私が勝ちましたしねw 当時確か右の握力が72kgだったかなぁ。 以降は計ってないのでどこまで伸びたのかは知りませんが、今思えばベンチで挙げる重量と変わらない握力があったのか…。 毎日3本か2本で指立て100回と拳逆立ち1分をやっていた頃の話です。

 この中で空手に一番役立ちそうなのは、バッグキャッチングですかね。 巾着みたいな小さい袋にナットや砂などを詰め込み、片手で掴んで上に投げ、掌を下にして落ちてくる袋を掴むというトレーニングですが、瞬発的な握力を鍛えるのに良いそうです。 似た様なトレーニングではブロックトスというのも紹介されてますね。

握力王4.jpg
レバーリフト

 そして興味深いのはレバーリフト。 これは沖縄伝統のチーシーを使った鍛練に良く似てますね。

握力王5.jpg
据石(チーシー)

 それから、指を開く力を鍛える方法も載ってます。 これをやるとバラ手とかデコピンが強くなりそうですね。 罰ゲームに備えて鍛えるのも良いでしょう。 空手をやってる人でもレッグエクステンションは得意でもレッグカールは苦手って人、いますよね? これは大山総裁が言う所の「裏筋肉」になるでしょう。 裏筋肉とは個人差がありますが、大山総裁による目安はこんな感じ。

 ̄△砲覆蠅笋垢て眤Δ良分、あるいは比較的、末梢的、末端的部分の筋肉。
右利き、左利きなどという利き腕、利き足とは反対側の手足とかかわる部分の筋肉。
生活習慣や運動パターンなどによって異なるが、その人がその行動をおこなう場合、あまり頻度(同じことが繰り返し起こる度数)の高くない部位の筋肉。


 で、フィンガーエクステンションとは指を開く事を指しますが、この指を開くというのは日常的には負荷が掛からない行為であり、末端的部分ですので、裏筋肉に該当します。 こういう鍛練も空手に役立つかも知れませんね。

 …とここまで書いておいてなんですが、過伸展によるケガの注意も喚起されています。 筆者は執筆の5年前に知人から大きな鉄の塊を貰い、それを使って摘む力を養成しようとしたところ、大き過ぎた塊を無理に掴んだ為、親指に痛みを憶えたそうです。 しかしそのまま鍛練を継続した結果、5ヵ月ほど親指が痛み、5年経っても時々痛むそうです。 その教訓を踏まえて、こう語っています。

 このように、親指の過伸展によるケガは簡単に起きてしまう。 だからこそ、つまむ力、いわゆるピンチ力の強化には慎重にならなければならない。
 確かに、より大きなものや、より太いものをつかんだりつまんだりすると、より強烈な負荷が手や指にかかってくるだろう。 しかし、あくまでも常識的な範囲で行うこと。 自分の手の大きさではとてもつかめないような大きな道具を無理に使ってはならない。


 最後にここに触れましょうかw コイン曲げ。 著者本人は自分でも出来ないし、見た事も無いそうですが、かつてのストロングマンがやっていたという話自体は信用してる様ですね。 ただ、コインの硬度が昔とは違い、更にアメリカ以外の国のコインはそこまで硬く無かったのだと判断してます。

握力王7.jpg
大山倍達が曲げた10円玉

 元々ヨーロッパの方で良く行われていた演武だそうで、アメリカでは難しいだろうとの事。 やるならイギリスのペニーやヨーロッパのコインでの挑戦を進めてますね。 ちなみにこういうコイン曲げが行われていた1900年代前半は、何度も曲げて千切る人もいた様で私も写真を見た事があります。 ただ、知ってる限り皆両手でやってますね。 片手っていうのはどれくらいいるのかなぁ。

 本書は空手家にとっては面白い本だと思います。 元々沖縄の…特に那覇手では握力(と言うか指)を鍛える為に様々な鍛練具を作り鍛え込んでました。 そして大山総裁も結構握力を重要視してましたよね。

握力王6.jpg
錠形石(サーシー)による鍛練

 特に正拳の破壊力には欠かせないと。 大山総裁は他にも木刀や弓を引いて握力を鍛えたそうです。
 彼らの様な握る事を追求して来たプロのやり方に学ぶのはいかがでしょう?


 という事で、ジョン・ブルックフィールド著「握力王」でした。 本書は「アイアンマン」の増刊ムックとして刊行された訳書という変わった本ですが、色々と脱帽しますねw
 翌年には第2弾で世界最強のグリッパーを攻略するというテーマでみっちりな「握力王vol.2」が出ていますが、続きという訳ではありません。 こっちを紹介する予定は今の所ありませんが、興味があれば併せてどうぞ。
 今の選手はどれくらい握力や指を鍛えているのかは知りませんが、武術としてみれば鍛えて然るべき箇所だと思いますので、忘れないで欲しいですね。
 それでは、また。


参考文献:
ダイナミック空手 大山倍達著 日貿出版 1967年
強くなれ! わが肉体改造論 大山倍達著 講談社 1985年
月刊大山倍達 第三号 2004年
アイアンマン3月号増刊 握力王 ジョン・ブルックフィールド著 フィットネスジャパン 2004年
アイアンマン7月号増刊 握力王vol.2 河北健訳 フィットネスジャパン 2005年

関連リンク:
大山倍達のアメリカ遠征 9 (マス東郷の演武)

 







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