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大山倍達マニアック検定

極真会館主催 第12回全日本大会プログラム (1980年)

JUGEMテーマ:空手
 

 はい久々の全日本ネタです。
 今回は1980年11月15日〜16日に開催された極真会館主催の第12回全日本空手道選手権大会を振り返ろう、そんなシリーズ企画ですね。

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 今大会をレビューする前に…この時期の極真について振り返りましょうか。 まず前年開催された第2回世界大会、前回書きましたがこの時のウイリー・ウイリアムスの試合振りに落胆した人間も少なからずおり、翌年のアントニオ猪木戦では…見る人が見れば分かる通り、己のプライドを賭けた異種格闘技戦、とは行かずにもやもやっとした試合展開の中、引き分けで終了。 梶原一騎が作り上げて来た格闘技界の梶原ワールドも終焉を迎えます。
 無論、影響力は残っていましたが、もう劇画「四角いジャングル」を書いていた頃の様なパワーは無かった事でしょう。 そして10年以上極真会館に貢献し、歪な急成長を促した弊害は…5年前から発生してはいましたが、正にこの年より大きく現れる事になります。




 まず9月8日の芦原英幸愛媛支部長の永久除名。

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 そして都下埼玉支部長の添野義二と、埼玉支部理事長の森井嘉孝の除名。 特に添野先生については同じ極真門下であったIを恐喝したとの事で新聞沙汰となってしまいました。

第12回全日本7.jpg

 特に大会直前となる「月刊パワー空手」の11月号には、誌面を大きく割いてこの添野事件に関する投書を多数掲載するなど、大騒ぎとなります。
 更に言えば近年、大山倍達総裁自身も「相撲空手」と揶揄した上位選手の試合振りから、ファンが離れるんじゃないかという不安があり、今大会の正否に極真の未来が掛かっていると、そう関係者が感じていても不思議では無いです。
 しかし蓋を開けてみれば長蛇の列にダフ屋まで登場する始末だったそうで、大山総裁を始め関係者は溜飲を下げた事でしょう。

第12回全日本4.jpg

 また、今大会は次代を担う選手達の台頭、地方支部の充実化と、大会を中心とした堅実な組織運営にシフトを置き始めるターニングポイント的な大会であると私は位置付けています。

 それではまずパンフレットから見てみましょうか。 今回のパンフは1981年度の極真会館年鑑(年館と書いてあるけどw)とセットになっており、7割近くが年鑑で、残りが大会パンフとなってます。
 挨拶を見ると、世界日報の久保木修己氏が出てますね。 この方、実は全日本空手道連盟の理事でもあるんですがw まぁ、それ言ったら古くから極真の関係者だった河合大介氏も笹川良一氏に繋がりがある人ですしねぇ。 全空連…というか笹川氏とどれだけ仲が悪かろうと、人脈に於いて重複が見られるのは実に面白いw
 さておき、全国の支部も2支部欠けたとはいえ26支部(内3支部が都内)と、全国の約半分を押さえた形となります。 また、芦原先生の事があってか、支部長勢力範囲というのも決定しましたね。

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 大会パンフの部分は…まぁ、試合ルールは特に変更はありません。 審判チームは大山茂先生が禁足処分となっているので、三浦美幸先生はいますが大山兄弟の名前がありませんねぇ。 興味深いところでは翰武会の武田昇翰先生が副審判長として主審を行っているところでしょうか。 武田先生の極真に対する貢献はもう少しクローズアップされて然るべきじゃないかなぁ。 つか、私以外は殆ど触れられていないですよね…。 専門誌で是非特集して欲しいです。

第12回全日本3.jpg

 ちなみに今大会ではそれまでの極真を担ってきたベテラン選手勢が引退し、後の大会で名を馳せる若手選手の台頭が注目されるところでしょう。 無論、前回の世界大会参加組の優勝は揺るがないであろうと予想されていましたが、若手勢の活躍は予想を遥かに超えたものでした。 それでは口調を替えて…本編に参りましょうかw

***

 Aブロックは1級の木元正資と同じく1級の柳田作男の対戦で幕を開けた。 茶帯ながら地元神奈川の大会で実績を残している木元がフルマークの判定勝ちを収め、全日本デビューを果たした。
 Aブロックは新人選手の活躍が目立ち、水口敏夫、七戸康博、竹山晴友、為永、吉岡智、今西靖明らが1回戦を勝ち上がる。
 大番狂わせが発生したのは13試合目の大西靖人対川畑幸一だ。 世界大会8位の実績を誇り、Aブロックを制するであろうと思われた川畑が、大西を相手に延長まで縺れ込み、遂には大西の突きに技ありを奪われ敗北。 場内は騒然となった。 一方、今大会で田舎に帰るつもりだという竹和也は危なげなく勝ち上がる。

第12回全日本8.jpg

 Bブロック、このブロック筆頭は古豪、矢島史郎と世界チャンピオン中村誠。 この2人は順当に勝ち上がったが、他の選手をクローズアップしてみよう。
 後に支部長となる楠慎吾、田畑繁、大濱博幸、そしてイタリアに渡る事になる脇内勉は問題無く勝ち上がる。 城南支部の湯沢元美は滝沢嘉津哉の欠場により不戦勝。 「風格ある他流派」田中正文も勝ち上がる。 人気選手柳渡聖人は、火の付いた様ないつものファイトで姿勢の崩れた田中秀明に、上段回し蹴りを放ち、あっという間に一本、観客を大いに沸かせた。
 しかしこのブロックにも番狂わせがあった。 本部指導員、金田和美の敗北である。 金田は調子が上がらないのか、千葉の吉沢正男に判定で屈した。

 Cブロックはこれが最後の挑戦だろうと目される浜井識安、そして三好一男、前田正利辺りが期待されており、危なげなく2回戦へ駒を進めた。 そして前回全日本に出場した時よりもスケールアップした広島の田原敬三も2回戦へと進める。
 まず若手で名乗り挙げたのは小笠原和彦だ。 3級の小笠原は大野木正文と対戦し、左上段回し蹴りであっさりと一本を取り、後に「足技の魔術師」と呼ばれたその蹴りの片鱗を見せ付けた。 そして後に極真会館を代表する名選手となる本部準指導員の松井章圭(当時はあきよし)は、松本保則と対戦、軽快なリズムで小気味良く繰り出される高い蹴りに場内からは溜息も漏れる。 最後はスタミナがやや切れかかったが体が入れ替わるところで松井の右上段が松本の顎に決まり昏倒、衝撃的なデビューを果たした。

第12回全日本14.jpg

 もう1人、今大会を大いに引っ掻き回した千葉の白石昌幸を紹介したい。 165cmと小柄ながらもがっしりとした体付きで常に前進する突貫ファイト振りで佐藤英寿を下す。

 最後のDブロック、このブロックは三瓶啓二を中心に山田雅俊、山田政彦に期待が寄せられたが、山田政は試合中に肘を脱臼し続行不可能となり、早々とマットを降りた。 千葉大会ではCブロックの松井を下した五十嵐裕己だったがベテラン沢柳俊夫に敗北、下克上ならず。 池田治樹、泰貴典、三村忠司といった後の極真を担う選手の内、空手歴半年の泰は判定で惜敗、キック経験のある高桑満弥は残念ながら本部の渡辺茂と当り、判定で姿を消した。

 続いて2回戦Aブロック、木元は宮城の小さな巨人、岩崎弥太郎に延長1回まで粘ったものの、判定に屈した。 19歳で185cmという本部期待の巨漢、七戸は石川支部の俊英、水口に敗れ涙を呑んだ。
 本部の為永は神奈川の吉岡に判定で勝ち、川畑を破った期待の大西は中村金四郎を下し2日目へ駒を進める。 そして竹は本部内弟子の島良一を相手に先輩の貫禄を見せ付け延長1回、下段回し蹴りで技ありを取り、3回戦へ。

 Bブロック、1回戦で沖縄の元極真門下、金城健一の弟子である知花信吾を下した八木明彦が楠を相手に延長2回で辛勝。 拳武道の田中正文は柳渡と対戦し延長2回まで縺れ込むが、ここで差を付けて柳渡を下す。 1回戦を突破した若手勢だったが、やはり壁は厚く、次々と敗北して行く。 一方優勝候補筆頭の中村誠は1回戦で前歯が陥没する重傷を負っていたが、脇内を本戦で圧倒する。

Cブロック、1回戦で左足指を骨折した三好はギプスを嵌めて出場、田島利昭から本戦で正拳中段突きで技ありを奪う。 小笠原は黒岡八寿裕と激戦を演じ延長2回で辛うじて旗3本の辛勝、松井は本部期待の松阪明彦と対戦し延長1回で判定勝ちを修めた。 そして浜井は前田政利に延長1回で勝利。

 Dブロックは山田雅俊が越智勇人を下段回し蹴りで合わせ一本勝ちを取り3回戦へ。 今大会を最後に引退する山田雅は気合が入っている。 三瓶は有馬文雄を本戦判定で下し、初優勝へ向けて初日は危なげなく終えた。

 2日目、3回戦に進む32名の名前を書き出してみよう。

Aブロック:
岩崎弥太郎、水口敏夫、村上成之、竹山晴友、為永、今西靖明、大西靖人、竹和也
Bブロック:
矢島史郎、八木明彦、中村滋博、山田富士男、田中正文、伊藤藤行、渡辺和貴、中村誠
Cブロック:
佐藤剛、三好一男、小笠原和彦、松井章圭、増田実、白石昌幸、田原敬三、浜井識安
Dブロック:
山田雅俊、沢柳俊夫、三瓶啓二、池田治樹、岩村平衛、板橋清隆、渡辺茂、M・ソーデルクヴィスト

 Aブロックは水口が岩崎を延長1回で下し、竹山が全東北大会優勝の村上を本戦判定勝ちと非凡さを見せ付ける。 同じく本部内弟子の為永は大阪の今西を本戦で圧倒し、判定勝ち。 今大会台風の目となるかと思われた大西はベテラン竹の前に本戦で敗北、川畑の雪辱を果たした。

 Bブロック、矢島が粘る八木を相手に延長2回でも決着が付かず、試割り判定勝ちと苦しい勝利。 中村滋は、師である大石代悟譲りの回し蹴りが光り、山田富に延長1回で旗3本の判定勝ち。 ベテラン伊藤と田中政の対戦は田中の顔面殴打もあって本戦で3-0と何とか他流派を止めた。 中村誠は渡辺和に本戦中段突きで一本を取り、ようやくエンジンが掛かった。

 Cブロック、優勝候補の三好が佐藤剛を本戦で勝利するも、左足の負傷が痛々しい。 松井は同じく新人の小笠原と対戦し、華麗な蹴り技勝負となるが、松井が上段後ろ回し蹴りで技ありを取り、フレッシュ対決を制した。 白石は今大会最年長、36歳の増田に本戦で中段突きを決め一本勝ち、そして浜井は田原と対戦し延長1回、下段回し蹴りで合わせ一本勝ちとなり、浜井は敗れた。

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 Dブロック、今大会、下段回し蹴りの冴える山田雅が同じくベテラン沢柳から下段回し蹴りと中段前蹴りを駆使して合わせ一本勝ち。

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 三瓶は池田から延長1回、5-0で判定勝ち、盤石ではあるが一本を狙わず、じっくりと闘っている感がある。 岩村と板橋の対戦は本戦で岩村が勝ち、渡辺とスウェーデンのソーデルクヴィスト戦、ボクシング経験のある渡辺は突きでソーデルクヴィストを追い詰めるも、延長1回で力尽き5-0の判定に敗れた。

 4回戦、Aブロックベスト8への最終関門は、水口と竹山の対戦で幕を開けた。 本部の竹山も粘りに粘り延長2回でも決着が付かない。 最終的には試割り判定で竹山が勝ちを拾ったが、若手同士の激闘に今後の期待が掛かる。
 大躍進の為永は本部の先輩、竹と対戦。 しかし冴え渡る為永の蹴りの前に開始早々、竹、左の回し蹴りで技ありとなり膝を屈した。

 Bブロック、矢島と中村滋の対戦は延長1回、矢島が貫禄を見せ付け判定勝ち。 中村誠と伊藤の試合は中村が突きで一本勝ちで制し、中村はこれで2試合連続一本勝ち。

 Cブロック、ギプスを嵌めた三好と松井の対戦は延長1回まで縺れ込む。 負傷を抱えながらの出場であったが、掴みを連発し闘魂ここまで。 松井の判定勝ちに三好、思わず崩れる。
 浜井を破りここまで進んできた巨漢、田原と闘志溢れる試合振りで勝ち上がった小柄な白石の対戦は、本戦で田原が白石の猛攻を受け、下段回し蹴りで合わせ一本で敗北した。

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 Dブロックは今大会を最後に選手生活を終える城西支部長山田雅と優勝候補の最右翼、三瓶の対戦で始まった。 三瓶相手に一歩も引かない山田の奮闘が光ったこの1戦、延長2回を終えても決着が付かず、試割りで三瓶が辛勝した。
 茶帯ながら、ここまで予想外の活躍をして来た岩村、スウェーデンのソーデルクヴィストのリーチの長い蹴りに一歩踏み込めず、本戦で4-0と差が付いてここで兜を脱いだ。

 ベスト8、ここまで勝ち残った選手は以下の通り。
Aブロック:
竹山晴友、為永
Bブロック:
矢島史郎、中村誠
Cブロック:
松井章圭、白石昌幸
Dブロック:
三瓶啓二、M・ソーデルクヴィスト

 優勝候補の中村、三瓶、矢島を除く5名が初出場という大番狂わせであった。 特にAブロックとCブロックは若手同士の対決である。
 まずはAブロック。 共に本部内弟子若獅子寮の先輩後輩の間柄である為永と竹山の対戦。 今大会冴え渡る為永の蹴りと竹山の蹴りが交差する中、合間を縫って繰り出された為永の中段の後ろ蹴りが竹山の脇腹を抉る。 すぐに立ち上がる竹山であったが、結果は技あり。 そして体を折り曲げたままの竹山を見て一本が宣せられた。

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 Bブロック。 中村、矢島、共に巨漢の優勝候補だったが、数合交えた後、同時に繰り出された左の蹴りで矢島がダウン。 敢えなく一本となる。

 Cブロックは同じ千葉県出身だが手塚道場の松井と小嶋道場の白石の対決。 突進する白石と高い蹴りで翻弄する松井の好対照な2人の対戦であったが、見事に噛み合い好試合となった。 下段足刀を繰り出すなど、技の豊富な松井が次第に小さな内股蹴りで白石の足を狙い始めると、動きが鈍る。 結局本戦4-0で松井が同郷対決を制した。

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 Dブロック、三瓶とスウェーデンから来日したミカエル・ソーデルクヴィストの対戦は、三瓶も蹴りで対抗する展開となった。 上段の蹴りが繰り出される綺麗な試合だったが、三瓶の下段を嫌がるソーデルクヴィストは延長1回まで粘ったものの、判定で5-0と敗北した。 アウェイでの好成績はむしろ賞讃されて然るべきだろう。

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 準決勝第1試合は為永と中村の新旧対決である。 為永は臆する事無く中村に蹴りで挑むが、パワーに圧倒され、何度も場外に吹き飛ばされる。 しかし何度でも立ち向かう為永は中村の顔面殴打の反則を引き出すなど粘りに粘ったが、反則を含んで尚、本戦5-0で中村が圧倒した。

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 第2試合も同じく新旧対決となった。 高い蹴りで挑む松井に下段を合わせる三瓶。 あっという間に松井の機動力を奪った三瓶だったが、松井も粘る。 三瓶の顔面殴打にもんどり打った松井だったが、再び蹴りと、そして気持ちの乗った突きで攻めるが、三瓶の強い突きの前に場外に突き出される。 声を上げながら挑む松井に答える様に三瓶の厳しい攻撃が続くがここまで。 本戦で三瓶が5-0と圧勝した。

 3位決定戦は為永と松井の若武者同士で繰り広げられた。 本部では為永が正指導員、松井が準指導員である。

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 試合開始。 蹴りから突きを繰り出す松井は、蹴りを跳び後ろ廻し蹴りを外されて倒れ込むと、立ち上がって地面を踏みつけ闘志露わにするが、為永が下段の猛攻を仕掛けると完全に右に左に体を崩し、遂には右の下段で技ありを奪われる。 最早蹴りの出ない松井は完全に防戦一方となるが、持ち前の負けん気の強さを発揮して必死の形相で踏ん張る。 ここで試合終了となり為永が3位となったが、今大会、両名の若武者振りは観客を大いに沸かせた。
 
 決勝は3度、中村と三瓶との対戦となった。 前に出る中村の突きを捌きながら小さな蹴りを繰り出す三瓶。 足払いで三瓶を大きく吹き飛ばすシーンもあったが、決定打は許さず、細かい技で返す。 互いに顔面殴打が出る中、意地の張り合いは本戦引き分け。

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 延長1回、2回、3回と意地の張り合いは続き、中村が猛然とラッシュを仕掛けるが、これを凌いで三瓶、下段で対抗する。 下段が効いたか、中村の動きが鈍り、前進はするが下段を嫌がる。 完全にスタミナの切れた中村だったが、試合終了。 三瓶に旗が2本上がり決着は付かず、試し割り判定に縺れ込む。 中村の試割り数18枚に対して三瓶23枚、この瞬間、「ガッツマン」三瓶の初優勝が決まった。 後輩たちの手で宙に舞う三瓶、一際感慨深い物があったのではなかろうか。 そして1回戦で前歯が陥没する重傷を負った中村も見事な闘い振りであった。

第12回全日本12.jpg

優勝:三瓶啓二
2位:中村誠
3位:為永
4位:松井章圭
5位:矢島史郎
6位:ミカエル・ソーデルクヴィスト
7位:竹山晴友
8位:白石昌幸


 総評:大山倍達。
 「新旧交代の時期」とは大会前にある程度喧伝されたことですが、如実にそれが証明されました。 支部と本部の力量が徐々に縮まり、場合によっては若い溌剌とした力が"オールド・パワー"を粉砕する光景は、私の目にはむしろ逞しく見えました。
 「若い力」で特筆すべきは、何といっても、健闘よく大会第3位に入賞した為永脇鹵覆4位の松井章圭初段、さらには茶帯ながら7位に食い込んだ竹山晴友、8位の白石昌幸の両君でありましょう。 それぞれ努力、精進を怠らなかった謙虚な姿勢には、まったく頭が下がるばかりです。 ことに若干20歳で"日本で3番目に強い男"になった為永老は四年館にわたり、本部の内弟子として若獅子寮の規矩の苦しさに耐えた男です。 好奇心旺盛な若者が、あえて他の誘惑を振り切り、空手ひとすじに賭ける姿の何とすがすがしく、尊いものでしょうか。 第二、第三の為永が一日も早く現れることを希求いたします。


第12回全日本22.jpg

(中略)
 試し割りで結果的には三連覇の野望が砕かれたとはいえ、堂々たる体躯を利用して準々決勝まで、一本勝ちを重ねてきた中村誠君にいま改めてその労をねぎらいたい。
 三瓶啓二――まさしく闘魂の男である。 骨が砕けようと、顔がつぶれようが、ただひたむきに前に出る突攻精神と"三度目の正直"に賭ける鬼気迫るような執念が、ついに彼をして王の座に押し上げたのだと信じます。 三瓶君、おめでとう。
  極真カラテの組織は完璧なものとはいえません。 いつ崩れるとも知れぬ"砂上の楼閣"を私はいままで孤軍奮闘で支えてきました。 しかし、生あるものはいつかは潰えます。 私・大山倍達の命も永遠ではありません。 ただわが極真カラテだけは大山死すともの永久に残ってほしい。 それはすでに老境にさしかかった私の祈念するものです。 極真カラテが武道の歴史を永劫に保ち、いついつまでも覇者であってほしい。 そのために私は、私の今後の人生すべてを投げうつ覚悟です。
 ともあれ極真カラテの存亡を賭けた第12回全日本選手権大会は成功裏に終了しました。 ひとえに支持者(ファン)の方々のおかげと存じます。 みなさま、ありがとうございました。 押忍!



 という事で…極真会館主催、第12回全日本空手道選手権大会でした。 やっぱり大会後は大山倍達総裁の総評で締めたいですよねって事と…その内容に何となく思いを載せて、長文転載してみましたw
 今大会は80年代の極真大会史上を彩る名選手たちが数多く出ています。 面白かったのが松井章圭選手。 当時は…本編に書いた様に松井「しょうけい」では無く「あきよし」と呼んでいたのですが、指導されていた加藤重夫先生が年齢を偽って出場させた、という逸話がありますよね。 17歳だと出場選手規約抵触するからとか何とか。 …なのですが、パンフを見ると17歳ですw そしてTV中継でもアナウンサーが初日は「17歳」と言うのですが、何故か2日目から「19歳」という事になりました。

第12回全日本5.jpg

 その為2日目の為永戦では「19歳と20歳、1歳の差が〜」というコメントが出ます。 何故だろう?w
 予想ですけど、初日に17歳は出場年齢に達していないのでは? というクレームがどっかの役員か支部から入ったのかなぁ、実は大会中に加藤先生が「実は19歳です、申込用紙の記載が間違ってました」みたいな事を言ったのかな、とか思うと何か楽しいですw
 しかし考えて見たらこの年の夏に松井先生は本部の準指導員になったんですよね。 という事はみんな年齢知ってたんじゃ?
 まぁでも、こう読み返してみると、あぁこの先生はこの大会が初出場か、とか見えて面白いですね。
 第12回大会ともなると、私の時代からすれば伝説では無くなる訳でして。 セピア色だった大会がカラーになった様な、そんなリアリティを感じる様になります。 現在活躍中の選手がどれだけ過去の名選手に思いを馳せるのかは、私は知りませんが、当時を知る方には懐古を、当時を知らない方には憧憬を与えられればなぁと思います。

 あぁ、そう言えばこの1980年より講談社から「極真カラテ年鑑」が刊行されました。

第12回全日本23.jpg

 これは梶原一騎先生では無く、講談社の風呂中斉氏のお陰じゃないかな、と思います。 風呂中氏は講談社の「わがカラテ」シリーズ担当編集者で、極真の評議委員になった人物ですね。 いつまで講談社から「極真カラテ年鑑」が出たのか見ればすぐ分かりますが、風呂中氏が亡くなられた90年以降…「極真カラテ91」と名を変えて刊行された時は、版元がパワー空手出版社になってます。 つまり風呂中氏が亡くなられて以降、講談社との関係が途切れたからだと推測出来る訳です。
 ちなみに風呂中氏はたけし軍団の「フライデー襲撃事件」(1986年)の際には当時「フライデー」の編集次長を務めてまして、ぶん殴られた事で出版史に名を残しています(多分)。
 …Wikipediaを見ると、この風呂中氏、自分は空手が得意であると挑発的言動があった結果の暴行事件だったみたいですねぇ。 実際に空手をされていたのかは知りませんが、空手家の担当編集者であったのは事実ですw
 今回はここまで、それでは、また。

参考文献:
第12回オープントーナメント全日本空手道選手権大会プログラム/1981年度極真会館年鑑 1980年
月刊パワー空手 1980年9月号 パワー空手出版社 1980年
月刊パワー空手 1980年10月号 パワー空手出版社 1980年
月刊パワー空手 1980年11月号 パワー空手出版社 1980年
月刊パワー空手 1980年12月号 パワー空手出版社 1980年
月刊パワー空手 1981年1月号 パワー空手出版社 1980年
現代カラテマガジン 1980年11月・12月合併号 真樹プロダクション 1980年
現代カラテマガジン 1981年1月号 真樹プロダクション 1980年
極真カラテ年鑑第1号 国際空手道連盟・極真会館編 講談社 1981年

参考映像:
第12回オープントーナメント全日本空手道選手権大会 フジテレビ 1980年

参考リンク:
フライデー襲撃事件 (2013/12/17)








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コメント
この大会の後、川畑師範がオーストラリア修業に来られたんですね。

夜知り合いだったジョンテイラー師範から電話が掛かってきて、明日の朝内弟子の川畑さんが来るとの連絡があったんだが、何しに来るのか確認してくれないかとの事でした。

慌てて、その当時は国際電話が高かったのでボンダイ道場まで行って本部に事情を聞いたら一年間の修行とのことで、ジョンテイラー師範が焦っていたのを思いだします。

ビザは??生活はどうするの??状態でしたが、、、。

後で聞くと川畑師範も、行って来いと言われたので来ました状態でそれでも行ったり受けいれたりするお弟子さんがいっぱいいる大山先生に感動した覚えがあります。

その後一年近くほとんど毎日稽古を続け次回大会でリベンジを果たした川畑師範も立派でした。

毎日素手でサンドバックを叩き続けて、拳頭の温度が上がリ過ぎて脂が抜けてぱっくり割れた拳頭にビニールテープを巻いて稽古をしている姿を見て極真の人は凄いな〜と思ったのを思い出しました。
  • てる
  • 2013/12/18 11:28 AM
(・ω・)ついに大西さんが出てきましたね、全日本格闘技選手権という大会は資料が残っているのでしょか?
  • ねこやなぎ
  • 2013/12/19 9:52 PM
>てるさん

これはまた貴重なお話をありがとうございます。
川畑先生が活躍した西日本大会はパンフと映像が揃ってるので、その内レビューします。
今はもう行って来いで従う選手も少ないでしょうけど、昔の派遣された指導員の話を聞くと結構無茶が多かった様ですね。

>ねこやなぎさん

えーと…確か「現代カラテマガジン」と「月刊フルコンタクトKARATE」に載って無かったですかね。 あまり詳しく無いですけど。
  • Leo
  • 2013/12/21 10:02 PM
格闘技選手権…演武で扇百年が一升瓶蹴って足をざっくり切り、大流血して救急車で運ばれた波乱の大会でしたね。
  • やいや
  • 2013/12/24 4:56 PM
懐かしいです。一階の一番奥の席から二階にとびうつった山崎先生を追いかけて、パンフ表紙うらの空バカの広告の所にサインしてもらいました。良くわかったねー、と言っていただきました。決勝の後、ロウヤマ先生にサインもらいにいったら、試合に感動して泣いてらして、優しく、あとでね、ごめんね、と言っていただきました。演武の指導をしていただいた竹山先輩があんなに強かったのも驚きでしたし、カラテマガジンで真樹先生が期待されていた為永、水口選手や東北3選手の活躍を観て、やはりパワー空手よりカラテマガジンの方が的確な評価をしてるな、流石作家の視点、なんて勝手に思ってました。懐かしい。
  • kim
  • 2013/12/24 6:33 PM
小ネタですがこの大会で、3位に入賞された為永さんは大山総裁にもっと強くなるように義永に改名しろって言われたってあの当時、聞いた覚えがあります。
  • てる
  • 2013/12/25 8:58 AM
この大会の後に三瓶先生は福島に来られました。
松井さん始め、選手の方々が大勢で出稽古にお見えになり、私は運転手をやったものです。
三瓶先生と松井さんが一緒にお酒を飲んでいたんですから感慨深いですよね。
でも松井さんの上段がヒョイヒョイ飛んで来て、この人は天才だと思いました。
  • 信夫山
  • 2013/12/26 5:06 AM
>やいやさん

そんな事があったんですかw

>kimさん

これまた貴重な体験を。 確かに廬山先生、解説席でも涙声でした。

>てるさん

為永先生は改名というか、今大会でもそうなんですが同じ字で「よしなが」と読み方を変えています。
大山総裁も活躍を期待していた様ですが、病弱だったという為永先生を、親の様な気持ちで見守っていた、という風に感じましたねぇ。

>信夫山さん

この頃の支部はまだ「福島支部」で北と南の2支部じゃないですよね。 和気先生の所に出稽古に行かれたんでしょうか。
しかし貴重なご経験、実に羨ましいですw
  • Leo
  • 2013/12/28 12:51 PM
Leoさま
YOUTUBEで海外映像に貴重なものが多いことに
驚嘆しております。
川畑師範のオーストラリア修行時代の映像発見です。
回し蹴りに切れが凄い…。
http://www.youtube.com/watch?v=Bm_-LnxDo18
  • tama
  • 2014/01/11 9:00 PM
>tamaさん

てるさんがコメ蘭に書いて戴いた時代の映像ですね。
よくこういうのを残すなぁと感心します。

日本にも貴重な映像が沢山ある筈なんですが、失われていった映像もまた多くあるんでしょうねぇ…。
  • Leo
  • 2014/01/12 1:22 PM
あ~なつかしいですね。
相手はこれも内弟子出身の金子さんですね。この後くらいから、二人でウエイトに凝りだして大胸筋をよくピクピクさせてましたね。
金子さんは、ジョンテイラー師範がかにこ、かにこ、と発音するのでオーストラリアの武道雑誌にもKanikoで出るようになってよく怒ってましたね。
  • てる
  • 2014/01/13 6:46 AM
>てるさん

カニコ、ですかw

私も高校時代、アメリカ人から「日本人はお前をレオって呼ぶが、リオとレオ、どっちが発音正しいんだ?」と訊かれ、日本語はレオだけど好きに呼べと言ったら、皆「レオ」と呼ぶ様になりましたw

「極真会」も、アメリカ人だと「キ、オ(ォ)クシンカイ」みたいに読む人が多いですが、金子先生も災難でしたw
  • Leo
  • 2014/01/18 5:11 PM
Leoさま
この大会活躍した竹山先輩のお元気な様子です。
精神文化を是非、伝承して頂きたいものです。http://www.youtube.com/watch?v=sJEspNqzZTY
  • tama
  • 2014/01/18 9:41 PM
>tamaさん

竹山先生、最近は結構アチコチで活躍されてますよねw
動画は新年会ですかね。
  • Leo
  • 2014/01/19 9:32 PM
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