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大山倍達マニアック検定

【レビュー?】小島貞二著「ザ・格闘技」(1976年)

 JUGEMテーマ:格闘技全般




 えー、今回は…前回のレビューとはちょっと方向性が違いますが、日本の格闘技を取り扱った本を紹介します。
 「ザ・格闘技」、小島貞二先生の本ですね。 以前紹介した「力道山以前の力道山たち」を書かれた方です。

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 本書は日本の格闘技者に関する逸話を「日本書紀」の時代から取り上げており、特に前掲した本を読まれた方には分かる通り、相撲と近代化以降の日本格闘技界に詳しい為、非常に読み応えのある一冊となっています。 まぁ、日本の格闘技にほぼ限定されたのはちょっと理由がありまして、各国大使館に資料の提出を依頼したそうですが、返事があったのも僅かで、締め切りには間に合いそうに無かったとの事。 それでは序文から。

 …そんな格闘技のたのしさ、面白さを活字の上に現してみたい……というのが、この本のねらいである。
 格闘技の本は、いままでにもかなり出ているし、また私も書いて来たが、いずれも専門書が多い。 ここでは、あまり専門にわたることはさけて、数々の格闘技に視野をひろげ、なるべく珍しい話、かわった話をひろってみた。 むろん人がいる。 名勝負がある。 記録がある。 事件もある。 この三倍近い材料を前に、あれこれと落とす作業の方がむしろ辛かった。
 だから、なかには私自身の体験もある。 私の見た試合もある。 つき合っている人も出てくる。 人をたずねてとっくりときいた話もある。 遠いむかしを追跡調査して、あやまりを訂正してみたのもある。 当然、なかには、「へえ、こんな人がいたのか」「こんな話があったのか」というオドロキもあるかもしれない。
 いうなれば、格闘技のあれこれを、ちょっと角度をかえてのぞいた、気楽な読みものという言いかたが、一番ピッタリするだろう。

 (中略)
 この本により、あなたの格闘技に対する興味や関心がより高まり、あるいはテレビの格闘技を見る上においての一助になれば、私は十分に満足なのである。

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 こういう姿勢は私も見習いたいところですね。 気楽というにはメッチャ長文な記事を書いてますけど…w
 それでは、目次から。


第一部 伝説の怪豪たち
        ――野見宿禰から日米対抗戦まで

    宿禰・蹶速はキックボクシング
    天覧相撲時代のスーパーマン
    『曾我物語』の中の河津掛け
    戦場での組み打ち虎の巻
    太い竹を腰に巻いた男たち
    江戸のジャイアンツ群像
    横綱以上の大関、雷電為右衛門
    スーパーウーマン列伝
    ペリー提督も見た日米対抗戦
    雲つく黒人を投げた小兵の両国
    宿命のライバルの死闘二番
    珍相撲も数々ござる

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第二部 格闘ニッポン
        ――西洋角力から双葉山まで

    「明治の力道山」ソラチキ・マツダ
    初の西洋相撲大興行
    パンチの痛さから生まれた「メリケン」
    柔道世界を征く・前田光世
    コンデ・コマの「巨漢退治虎の巻」
    アド・サンテルの「脳天落とし」
    サンテル、講道館に挑戦状
    横綱太刀山の「仏壇返し」
    高垣信造決戦譜
    大日本レッスリング普及会始末記
    引退六年後日本一となった栃木山
    天竜・武蔵山二日がかりの死闘
    植芝盛平と合気道
    ライオンを投げた男
    若木竹丸「怪力法」
    内から見た「双葉山七十連勝成らず」

第三部 戦後のスーパーファイト
        ――プロ柔道から腕相撲まで


    プロ柔道からプロレスへ
    格闘技一筋四十五年の長沢秀幸
    柔拳のスターたち
    力道山・木村政彦「巌流島の血闘」
    人間の急所は五十余カ所
    イレブンPMの「女相撲」
    「勝抜き腕相撲」の腕豪たち
    腕相撲の鬼のトリオ
    どの格闘技がいちばん強い
    アリと猪木の「世紀の凡戦」



 本書が出版されたのは1976年ですから、「日本書紀」の野見宿禰と当麻蹶速の蹴り対決をキックボクシングと紹介したのは良く分かる話なんですが、もう今時の格闘技界ではこの逸話も載らないんだろうなぁ。

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 さて、冒頭は相撲のエピソードが多いのですが、生涯無敗の日田永季から江戸時代の身長2m20cm台の巨人達の話、現在でも最強の呼び声高い雷電為右衛門まで色々と載ってます。
 異色なのは女傑列伝でしょうか。 木曾義仲の愛人として知られる巴御前やこれに並ぶ女傑の板額御前を筆頭に剛力で後世に名を残した「高島の大井子」とか、中々興味深い話が。
 ペリー提督来日時の日米対抗戦は「力道山以前の力道山たち」にも載ってるので、そっちに譲るとして…1884年の天覧相撲の話が面白いですね。 柔道にも似た様な話がありますが、「陛下をしりを向けることのないように」という注意に従って、相撲を取ったのですが…当時の写真?が何かおかしいw

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 戦前の日本にやって来たプロレス興行やソラキチ・マツダも前の本に載ってるのでこの辺りもさらりとスルーして…明治大正時代の海外に出た柔道家もまぁ、いいかな。 いずれ別の本を紹介する時にもやるだろうし、過去にやってるしw

 ウチではまだ扱って無くて興味深いのは、合気道の植芝盛平先生の話でしょうか。 第三十三代横綱の武蔵山と好勝負を繰り広げた関脇の天竜、1932年に日本相撲協会が分裂した際の首謀者として歴史に名を留めている人物ですが、その天竜が出会ったのが当時56歳だった植芝先生でした。 満州での演武会で、天竜を手玉に取った訳ですね。 以下、天竜の回想。

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 「正直なところ、はじめ小さなじいさんが、どう攻めてもいいと左腕を出してきたときは、こんちくしょうと思いましたよ。 しかしにぎってみると、まるで鉄の棒のようなんですよ。 とても人間の腕じゃない。 これはただものじゃないとわかったから、思いきって行ったんですよ。
 相撲には、とったりという逆わざがあるから、手首をひねって、肩を攻めるという要領で行ったところ、パーンと投げられた。 どうして投げられたのか、まるで見当がつかないんですよ。
 あとで考えると、こっちの呼吸を向こうもはかっている。 "片手取り四方投げ"を喰ったんだね……」


 本書には、3ヶ月間植芝道場でみっちり稽古した時の体験談も載っていますが、そちらは割愛。

 外国人のエピソードはあまり載っていませんが、近代ボディビルの父と称されるユージン・サンドーの話が載っています。 「怪力法」の若木竹丸もまた、このサンドーに憧れて肉体鍛錬を志しました。 そのサンドーが1894年5月22日、ライオンと闘ったという逸話ですね。 まぁ、当時の新聞を見る限り、内容は少々大げさな気がしますが、コモドーレという名前のライオンと闘ったのは事実です。

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 で、その若木竹丸についてもエピソードが綴られていますが、こちらも以前紹介したので、いいかな。 というか、多くは「力道山以前の力道山たち」に収録されてるのですw
 違いはそうですね、少し極真やプロ空手、キックボクシングに触れた箇所があったりとか、腕相撲について書いたりとかなので、近代格闘技史を中心に読むなら「力道山以前の力道山たち」、もっと古い時代から読んで見たいなら本書、という事になるでしょう。 ただ、古い時代と言っても力自慢と力士がメインで、柔術や拳法はあまりありません。 この辺りを間引いても貴重な資料を数多く紹介してますので、興味のある方、これから研究したいという方はまず揃えておいて損の無い本です。
 
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 と言う事で小島貞二著「ザ・格闘技」でした。
 年代から言えば「力道山以前の力道山たち」の方が後から書かれており、本書からテーマを絞って再掲した様な感じなんですが、当ブログでは先にそちらを扱ったので、ちょっとちぐはぐになってしまいました。
 近年、柔術や柔道の海外伝播を書いた本は見掛ける様になりましたけど、本書は相撲、力自慢、柔道辺りを中心に扱った本ですので、毛色が若干違います。
 文明開化後の近代格闘技事情に興味のある私としては、この手の研究本が多く出ないかなぁと期待しているのですが、流石に難しいですね。
 ウチみたいなブログでも何か後世の研究家の切っ掛けになればいいなぁと思います。
 今回はここまで。 それでは、また。

参考文献:
San Francisco Call, 5/23, 1894
ザ・格闘技 最強をめざす男たちの世界 小島貞二著 朝日ソノラマ 1976年

参考リンク:
San Francisco Call, Volume 75, Number 174, 23 May 1894 (8/31/2014)


関連リンク:
【レビュー】小島貞二著「力道山以前の力道山たち」(1983年)
日本人初の世界王者 マティ松田
前田光世と闘った男、ブッチャー・ボーイについて調べてみた
海を渡った柔術士、東勝熊 前編(1904年)
海を渡った柔術士、東勝熊 後編(1905年)
若木竹丸著 「怪力法並に肉体改造 体力増進法」(1938年)
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コメント
初めまして!

猪木アリ戦を世紀の凡戦と書いてるとこに時代を感じました。

  • UFO研究家
  • 2014/08/31 9:00 PM
私はこの本で初めて植芝盛平のことを詳しく知りました。
  • やいや
  • 2014/09/05 7:21 PM
>UFO研究家さん

時代もありますが、一般のファンから見ればやっぱり凡戦なのかも知れませんw

>やいやさん

考えてみればある程度合気道を知ろうという意思が無いと、知る機会が少ないかもですねぇ。
  • Leo
  • 2014/09/06 11:08 AM
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