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大山倍達マニアック検定

【レビュー?】ムエタイの他流試合満載の本(1988年)

JUGEMテーマ:格闘技全般
 

 1921年8月6日、タイ、バンコクのローズガーデン、ここに竣工したばかりのボクシング試合場において、国籍の異なる二人のボクサーが相対峙し、火花を散らしつつあった。
 中国人の拳法家の名は「子正」、著名なる鷹爪拳師と伝えられる。 タイ国のボクサーはコラート出身で「高原の虎」の異名をとるヤーン。 勝負の幕切れはあっけないものであった。 子正は1ラウンド早々に顎にキックを受けて昏倒、ノックアウト負けを喫したのだ。


泰国拳2.jpg

 …というエピソードで始まる「格闘Kマガジン」2003年4月号の「中国武術VSムエタイ血戦外史」という龍吟氏が書いた記事を読まれた事はありますか?




 当時の「Kマガ」は1920年代の中国拳法を資料と基に紹介したり、古式ムエタイを紹介したりと、読み応えのある記事が多くありました。
 その2つの武術の邂逅を書いた記事を読み、参考文献の「泰国拳」の文字を見た瞬間、あっこれがこの記事の元になったんだ、と直感しいつか入手してやろうと思っていました。
 その後とある方と知己を得、表紙などの情報を入手し約11年後に中国から入手した本書「泰国拳」のレビュー…? をしようかと思いますw

泰国拳1.jpg

 入手して判明したのは豊富な写真でムエタイ史を網羅、技術の紹介他…今回のメインなんですが、ムエタイの他流試合について多く書かれていました。
 で、これを書かれた作者は坤青。 本名は徐家傑で良いのかな、香港の方ですので英語名はAlex Tsui(Alex Tsui Ka-kit)とされています。 現在はWBCムエタイ部門アジアのトップみたいですが、この方の著作及び活動はタイでも高く評価され、ことムエタイ史については世界でも最高峰となるのがこのアレックス師となるそうです。
 まぁ、日本国内では殆ど知られておらず、私も一昨年くらいまで知らなかったんですけどw
 限定1000冊らしく、世界でも入手困難な一冊となりますが、とりあえず目次を。

目録
        禮師
        目録
        前言
        自序
        作者簡介
        提要

泰国拳6.jpg

第一章        何謂泰拳?
第二章        源流與歴史變遷
第三章        拳壇今昔
第四章        弾紫佚理
第五章        古典泰拳之技藝
第六章        傳統禮節・拝師拳舞・戰樂
第七章        世界武術名家對泰拳之品評
第八章        泰拳基本技術與攻防法門
第九章        擂台策略與智謀
第十章        職業拳師訓練法
第十一章    標準拳術競賽規則

泰国拳5.jpg

附   録
   一        宗考
   二        名師列傳
   三        近代拳壇高手録
   四        國際著名師範
   五        異種武術比試傳記
   六        世界性推行和發展
   七        拳壇名人
   八        名戰一覧



 で、香港の代理店を通じて購入したら、じっくり読もうと思ったんですが…読めねぇw
 いや、旧漢字が多く入っていると言っても、私が学校でも古典を学んだ事が無いと言っても、結構読めるのは読めるんですよ。 マレーシアにも1年以上いたし。 ただ、広東語の発音が分からないので、当て字で書かれた主役であるタイ人の名前が読めないw
 ただですね、本書が素晴らしいのは写真が豊富な所なんですよね。 後面白いのはムエタイの技術説明の部分。 技名や歩法など、中国拳法の技術書を見るかの様な説明なんです。

泰国拳4.jpg

 中国拳法の知識も無かったらもっと読めなかったかもw
 なので、ムエタイ史についてはざっくり飛ばします。 菱田慶文氏の「ムエタイの世界」をレビューする時にムエタイ史をやる予定ですので、それまでお待ちを。
 では何をやるかというと、附録にある「異種武術比試傳記」。 冒頭で紹介した中国拳法との他流試合についてです。
 実は購入する前から空手家の闘いの記録もあるのでは? と本書に目を付けていた理由はここにあります。 で、結論から言うと、知られざる空手史がここにありました。
 先の拳法家もこの様に紹介されてますね。

 …斯時華僑領導入自香港聘得名聞大江南北之鷹爪名師子正

 ちなみに龍吟氏によると鷹爪翻子拳宗師の「鷹爪王」陳子正では無いかとしていますが、本書ではそこまでは書いてませんでした。 まぁ、中国拳法家の闘いについては日本語で書かれた「Kマガ」の方を見て頂くとして、日本人を中心として他を見てみましょう。

 1958年9月、柔術家の永島八郎がルンピニーかな? に出場したとありますが、詳細の読み取りに自信が無いので細かくは書きませんw 負けたっぽいですけど。
 そして現在判明している限りでは初の日本人空手家の挑戦は同年12月、西原健吾という空手家でした。 お世話になってるとある方の調査では、安藤組の西原では無いかという話です。 伝説の喧嘩師花形敬の舎弟として、愚連隊関係の本ではよく知られているかと思います。 本書では剛柔流三段となっていますが、実際には和道流との事。

泰国拳7.jpg
西原健吾

 これも残念ながら負け。 2ラウンドで負けたのかな、足が腫れて歩けないほどのダメージを負った、と読めます(多分)。
 この文章の下に大山倍達総裁の記述もありますが、1954年に東南アジアを回っている時に(ブラックコブラの事だと思いますが)「黒眼鏡蛇」というタイ人と闘ったと自伝にあるが、様々な記録を調べたが、今の所著者の知る限りでは西原以前の記録は無い、という残念な結果w
 まぁ、これ以前にタイで闘ったとされている空手家に日本空手道協会主席師範であった中山正敏先生(伝統武術家との対戦らしい)や、年齢的に50年代の早い時期にムエタイに挑戦したと思われる藤本貞治先生など、真偽の分からない伝説は多くあるんですけどね、「空手のチャンピオンチーム」とかw
 しかしこれほど多くの知識を持つ専門家の発言には傾聴に値するでしょうね。 少なくとも大きなスタジアムでの試合記録は無いんだと思います。 洪水の多い地域ですから、貴重な文献もダメになったり、という事もあるでしょうし、真実はその人の中に、という事でw

 さておき、他にも時系列に沿って…殆どが中国拳法家ですが、の挑戦が続いて1962年にプロレスラーの申卡(尼雲・賛・星)という選手が挑戦しています。

泰国拳8.jpg
プロレスラーVSムエタイ

 マレーシア在住の…インドレスラーかな? あっ、シンガポール辺りで活躍し日本にも来日したプロレスラーのキング・コングと関係あるんだろうか? 「キックの鬼」では沢村忠対策としてプロレスの技を教えてましたけどw

 そして1964年…本書では63年となっていますが、極真の挑戦と66年の沢村忠VSサマン・ソーアジソン。 69年の沖縄キックボクシング興行時に対戦したとされる選手の名前が、1人だけですけど出ていました。 名前は…平良光義かな。

泰国拳3.jpg
「月刊フルコンタクトKARATE」 の物江勝広の記事

 1974年には、日本でも端的に紹介されましたが、添野義二門下の物江勝広選手(和道流二段とある。 後にキックでも活躍した)がムエタイに挑戦しやはり2ラウンドで敗北。
 この年は結構挑戦してますねぇ。 阿部という空手家や朝野五段、松濤流とあります。 ま、皆負けてるんですけどね。 やっぱり相手の土俵とはいえ、ムエタイは強いw


物江と朝野の挑戦

 とまぁ、とりとめの無い事書きましたが、習った事の無い言葉で記された本ですから、100%の理解が出来ないのが実に残念。 でも、写真満載ですし、端的には理解出来る漢字表記ですから、日本人で良かったなぁと思いますw
 入手出来るチャンスがあるなら、是非手に入れたい逸品ですね。 知られざるムエタイがここにある訳ですから。



 と言う事で、アレックス・ツイ師の「泰国拳」でした。
 本文中は触れませんでしたが、ムエタイの発展や古式ムエタイの探求に尽くした方だけに贈られるというゴールデン・モンコンを授与されたそうです。 世界でも10人ほどしかいないとか。

泰国拳10.jpg
ゴールデン・モンコン授与式(写真提供:T.N様)

 読み取り能力の都合により、ムエタイ他流試合を中心に書きましたが、翻訳版が出ないか渇望してますw 英語版でもいいので出して欲しいっすね。
 いや、もう20年以上前の本ですので、現在も活動している事を考えると情報もアップデートしているでしょう。 改訂版を是非。
 そして、T.N様、写真提供ありがとうございました!

 今回はここまで。 それでは、また。



写真提供:T.N様

参考文献:
月刊フルコンタクトKARATE 1988年2月号 福昌堂 1988年
格闘Kマガジン 2003年4月号 ぴいぷる社 2003年
泰国拳 坤青著 世界功夫出版社 1988年

参考リンク:
徐家傑 (3/22/2015)
Sacked graft-buster Alex Tsui takes on challenging new role (3/22/2015)

 







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コメント
格Kで試合した中国武術家が死んだ話とか載ってましたね。恐ろしや。
  • やいや
  • 2015/03/22 10:28 PM
(;´・ω・)貴重な内容
有名なカンフーの先生、ムエタイなん連覇というのに何故かヘビー級w

フェザーとかでもチャンピオンだしてくれたら神なのにと
  • ぬこやなぎ
  • 2015/03/23 4:49 AM
安部譲二氏は著書の中で空手家との果たし合いにワンパンで勝利したことを書いていますが、「空手なんてものは戦艦ヤマトのようなもので、旧時代の遺物」と見くびっていたようです。おそらく兄貴分の西原がタイで惨敗したことなどであまり実戦的な印象を持っていなかったのかもしれませんね。


>ムエタイ史についてはざっくり飛ばします。 菱田慶文氏の「ムエタイの世界」をレビューする時にムエタイ史をやる予定ですので、それまでお待ちを。

非情に楽しみです。

  • 桜井斉
  • 2015/03/23 8:30 AM
どうやら始めて日本人でルンピニー、ラジェダナムンでムエタイに
勝ったのは中村忠氏のような気がしますが。
あくまではっきり記録として残っているものから判断するとですが。
大山総裁も含め、他の空手家でも勝った人はいるかもしれませんが、おそらく地方での
興業ではないかと思いますが。
  • オールドキックファン
  • 2015/03/24 6:16 PM
>やいやさん

本書にも載ってました。 まぁ、読めないので推測ですけどw

>ぬこやなぎさん

ん? ベネズエラで八極蟷螂拳を教えてるあの先生でしょうか?
試合の映像見た事無いから、興味あるんですよねw

>桜井斉さん

いやぁ、安部譲二さんは普通に実体験から言ってるだけじゃないですか?
西原健吾と言えば安藤組でも喧嘩で知られた人ですし、当時誰も実態を知らない東南アジアの闘技の勝ち負けとか評価に影響しないでしょう。
そもそも安藤組でこの話をしているのを見た事無いですし、知っているかどうかも不明ですw

>オールドキックファンさん

まぁ、私も地方の話か、ジムでのスパーだと思っていますw
藤本先生も地方でやったと言っていましたし。
  • Leo
  • 2015/03/24 10:35 PM
凄いレアな本を入手されたねですね。凄い。
  • 通りがかりのいかつい私
  • 2015/03/25 2:13 PM
ムエタイの昔の写真観ると早い時期に技術的に完成していたか分かります。掲載の写真は一目でどちらが勝者か判るほど実力差を感じます。中村忠、藤平昭雄は当時の空手の技術でよく勝てたと関心します。
  • Tonson
  • 2015/03/25 7:47 PM
自分が思っていた以上に多くの日本人の空手家がムエタイに挑戦してそして敗北してるんですね。

こういう事実を鑑みるとルンピニーでチャンピオンクラスの相手ではなかったとしても勝利を収めた中村忠氏と藤平昭雄氏は改めて凄いなぁと感心してしまいます。
  • ななし
  • 2015/03/26 2:06 AM
大沢氏は頭突きで相手を弱らせて勝ったと言われていますが
実際はどうなんでしょうか。
野口氏側の作為的感じがするような感じで。
大沢氏の対ムエタイ映像、ごくわずかのシーンをスライドショー化
したものしか無いので判別しにくいですが
  • オールドキックファン
  • 2015/03/27 5:35 PM
>通りがかりのいかつい私さん

あざっすw

>Tonsonさん

試合で検証されている訳ですからねぇ、やはり技術の向上は他格闘技と比べても素晴らしかったのでは無いでしょうか。

>ななしさん

挑み、勝利したという事実は、何事も代えがたい功績でしょうね。

>オールドキックファンさん

いえ、大沢先生自身が頭突きで勝ったと記憶していた位ですので、効果的に使ったのでは無いでしょうか?
まぁ、あの身長差でインファイトを仕掛ければ、意図しなくても当たる可能性は十分にありますけど。
  • Leo
  • 2015/03/28 5:11 PM
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